暁 〜小説投稿サイト〜
トワノクウ
トワノクウ
第十八夜 千草の蜃(三)
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
なさとか。そんなものより。

(なんとかしてあげたい)

 強く想った。

「任せてください」

 梵天は驚いたようにくうを見やる。

「くうが、なんとかします」

 ――「なんとかしてやる」。父の口癖だ。どんな困難でも父はその一言で本当になんとかして≠ュれた。篠ノ女紺の娘なら、このくらいできないでどうする。

「絶対に露草さん起こします。だからそんな顔しないでください」

 くうは梵天の頬に手を添えて、言った。

 梵天は先程とは異なる苦笑を浮かべて、くうの手を静かに外す。梵天の手の体温は、やはり人間の常温より高い。

「期待してるよ」
「! はい!」

 頼まれ事は家庭でも学校でもたくさんされてきた。それでも、今ほど心を衝いた願いはなかった。

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ