マクロスF
0789話
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れないが」
「ええ、そういう事ですわ」
グラス大統領の言葉に、シェリルはニコリと笑みを浮かべて言葉を返す。
異世界の存在であるシャドウミラーとの会談に、何故かいる銀河の妖精。恐らく俺との件を知らなかったのだろう向こうの参加者のうち数人が、完全に意表を突かれた表情を浮かべて俺とシェリルへと視線を行き来させている。
俺に関しての情報が伝わっていないのは、プライベートな事だから良かったのか、あるいは危機管理が足りてないのか。
「そうだな、シェリルの件やバジュラの件についても色々と決めておかなきゃいけないのは事実だ」
「その、アクセル代表。彼女はやっぱり?」
確認するかのように尋ねてくるキャサリンに向け、頷きを返す。
その言葉を証明するかのように、シェリルもまた笑みを浮かべてそっと俺の手を握る。
それを見た周囲の政治家達が再びざわめく。
……何もここでそんな目立つ真似をしなくてもいいだろうに。
「まぁ、確かに彼女がフロンティア船団に滞在していたのはギャラクシー船団が行方不明になったからこそ。それを思えば、彼女が自分の居場所をどこに見つけるのかを私達が指図する事は出来ませんな」
「いや、しかし大統領! 彼女はギャラクシーの……」
「黙れ」
何かを言いかけた政治家に、鋭く呟きその言葉を止めさせる。
向こうにしてもこの件を問題にはしたくないんだろう。と言うか、今のシェリルの人気を思えば、問題にした瞬間にフロンティア政府は民衆によって見限られる可能性が高い。
何しろ、バジュラを相手にして歌い続けて戦闘を有利に運ばせ、最終的には和解に成功したんだからな。
勿論あの戦闘は一般には公開されていなかったが、それでもあれだけの人数が参加した作戦だ。情報を完全に封鎖するのは不可能だ。それを分かっているからこそ、グラス大統領はその件に触れないのだろう。
……もっとも、後でこれを条件にして何らかの譲歩を引きだそうとする程度はするだろうが。
「……失礼した。では早速だが、交渉に入るとしよう」
そう告げ、グラス大統領は自ら近くにある会議室へと俺達を案内するのだった。
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