二話 コミュニティ
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落っことしたりしないように注意しといた方がいいぜ」
トールによる丁寧な口調での説明をシュウとアルバが補足する。エルキンはそれらに首肯を返しながらアイテムストレージから羊皮紙のように見えるフリーメモ・ペーパーをオブジェクト化させ書きとめていった。
「よし、助かるよ、これなら皆の平均レベルを底上げできる。早速今夜の集会で通達しよう――私はこれで戻るが君達はどうする?」
メモをアイテムストレージに収納し尋ねるエルキンにシュウ達は顔を見合わせると、言葉を交わさずにうなずき合い、トールが代表して答える。
「俺達はもう少し狩りを続けてから戻ります、明日からここは少し使いづらくなりますしね」
「そうか、すまないな。……今夜の集会には顔を出してくれるんだろう?礼金はその時にしよう、では」
一瞬浮かべた申し訳なさそうな表情をすぐに引き締めるとエルキンはこの層の主街区のある方向へ歩み去った。
「……送っていかなくてよかったかな?」
「大丈夫だろう、あの人レベルは低くないし索敵と隠蔽のスキルはマスター近いはずだ」
主街区はすぐそこだしな、と付け加えシュウは辺りに視線を巡らせる。そろそろ先ほど倒したゴブリン達に代わる一団がリポップする頃合だった。索敵スキルを働かせ周囲の気配を探るその姿にトールとアルバ、二人の意識も臨戦態勢に移行する。
「集会もあることだし、夕刻までには帰れるぐらいにしておこう。いいかな?」
「ああ」
「了解〜」
そうして三人は森の奥へと踏み出していく。茅場晶彦によるデスゲームの開始宣告が為されてから一年と七ヶ月が経ったこの剣の世界、二千人ものプレイヤーが命を落とす中、少年達は剣士として未だ生き続けていた。
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アインクラッド四十ニ層、石造りの建築物が立ち並ぶ主街区《フェルゼン》、陽も沈みかけ夕焼けの色に包まれつつあるその街の一角にあるプレイヤーショップ。軽食屋兼酒場として経営しているその店に二十人以上のプレイヤーが集まっていた。六十五層で狩りをしていたシュウ、トール、アルバの三人もカウンター席に陣取り集まった他のプレイヤー達と同じように照明が落とされ薄暗い店フロアの奥に視線を注いでいる。
視線の集まる先では白のシャツに黒いジャケットというバーテンダー風の衣装を身につけたエルキンがテーブル上に置かれた《ミラージュ・スフィア》と呼ばれるアイテムからアインクラッド各層の立体マップを空間に投影させながらプレイヤー達に向けて様々な情報を、時折投げられる質問に返答しつつ語り伝えていた。
上層で通用し得る装備の原料となる素材アイテムのドロップ情報、実入り
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