憎悪との対峙
34 最悪の共闘
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分への憎しみの一部をぶつけている。
もちろん恨まれるだけの理由はある。
だがシドウの知っている彩斗ならそんな方に向けたりしない。
良くも悪くも、心に閉じ込め、1人で苦しんで決して人に打ち明けて楽になろうともしない優し過ぎる子供。
だが今は好戦的な怪物と言わざるを得ない。
どこで覚えたのだろう、格闘技にしてみれば即退場になりかねない肘打ちや首を狙った攻撃、そして素早く忍者のような軽い身のこなし。
あのやせ細った華奢な肉体から生まれるものとは思えない。
先程から何もかもから違和感を感じていた。
「お前には分からないだろうさ!!悪の組織を裏切った正義の味方ヅラした偽善者にはな!!」
「!?」
スターダストはマシンガンに変形させた腕を構えるジャミンガーを真正面から斬りつけ、そのまま顎を砕いてしまうくらいの蹴りを入れた。
その姿は悪魔のようだった。
わざと悪ぶっているわけではない。
間違いなく自分の知っている純真無垢で繊細な子供では無く、強い憎しみと辛い過去に病のように取り憑かれて変貌した悪魔と化してしまっていた。
もはや人間を捨ててしまったのではないと思える程に。
それを裏付ける要素として先程から相手の攻撃を大きな動きで交わしたりしていない。
普通の人間なら殴られそうになったら思わず目を瞑ったり、逸したり、何としてでも防ごうとする動物としての本能が働く。
しかし今のように銃口を向けられても交わすどころから正面から攻撃を加えた。
ようやく違和感の正体が分かった。
「ハァァ!!」
顔面に迫る攻撃を僅かな動きで交わすとそのまま肘で逆に顔面を殴りつけた。
先程から交わすという動作があまりにも少ないのだ。
それ故に相打ちになっていることも少なくない。
しかし速すぎて、まるで相手の思考を読んでいるかのような動きを見せる。
もちろん弾丸が放たれるよりも速く動けるような、拳より速く動ける自信があったといえばそれまでだ。
だがあの動きはダメージを顧みていない、攻撃を交わすのも最小限の動き、防ぐという行動は逆にダメージを与えられる肘や膝が殆どという攻めるためだけの戦い方だった。
「くっ!?」
アシッド・エースはスターダストの戦いに一瞬、目を奪われて防ぎ損ない腹部に蹴りを受ける。
だがしかしすぐに立て直し、反撃に転じた。
「ハァ!!」
しかし再びスターダストの方に目が行ってしまう。
何度見ても、危なっかしい戦いだった。
スターダストのスペック、もしくは彩斗の技量が無ければ成立しない。
それを感じていたのはジャミンガーたちも同じだった。
「うぅ!?...わぁぁぁ!!!」
何度攻撃してもダメージを与えられずに、数倍になって返ってくる。
怯むこと無く、本気で潰そうと向かってくる、怪物
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