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【短編集】現実だってファンタジー
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神話伝承相続権 その2
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確かにそのようなことが書かれていた。
伝承者がその身に宿す神仏英霊には多様な面が存在し、俺の場合は火の神であることより神産みで持った役割の方が色濃く出ている、と。

不意に掌を翳し、力を込める。すると、意識を集中させた手先からめらめらと赤い炎が浮き出るように現れた。伝承者になった頃から何度か試して出したことのあるこの炎は、本気で振るっても神代の火にしてはそんなに火力がない。
それを前から疑問に思っていたのだがそう言う事だったのかと納得する。てっきり使い慣れていないから火力が低いのだと思っていたが、まさか最初から向いていなかっただけとは思わなんだ。

『差し出がましいようですが父上……それぐらいちゃんと読んでおきましょうよ』
『下手をすれば戦う術を勘違いしたまま死にかねませんよ?』

若干呆れ顔のイワサク・ネサク兄弟に返す言葉もない。ごめんな皆。パパは駄目な子だ……。

「……お前らってばおれっちよりしっかりしてるなぁ。あ、なんか情けなくて涙出てきた」
『ちちうえー、元気出してー?』
『傷の治癒は大体終わったよー!』

慰めてくれるこの子達の優しさが目に沁みる。
かくして武智の家は随分賑やかになったのだった。

『では改めまして、父上に我等が力も含めて自己紹介をしようではないか!』
『おー!』
『わー!』
『にゃー!』

どうもこの集団のリーダー格はタケミカヅチらしい。タケミカヅチを中心に全員が整列した。

『まずはソレガシから!』
『いいえ、ここは私達姉妹から!』
『いやいやここは……』
「あ、右から順番でいいよ」
『という事はやはりソレガシが一番であるな!』
『ぶーぶー!』

どうにも落ち着きがない集団らしい。ともかくまとめ役のタケミカヅチから。とはいえおれっちもその名前くらいは聞いたことがあるのだが。

『えー、ごほん!我が名はタケミカヅチ!雷と剣を司る神にございまする!戦闘モードになることで、霊剣フツノミタマを振るって落雷を起こすことが出来まするぞー!!』
「ちなみに強いの?」
『剣を司ること、これすなわち武を司ること!いわば武神にして雷神なのです!加えるならば相撲の開祖にして最強のおケツを持つ神!!』
「最強のおケツ!?」

なんでも昔オオクニヌシ相手に「剣の切先の上で胡坐をかく」と言う意味不明な一発芸を披露して大爆笑を取ったその頃以来、最強のおケツを名乗っているそうだ。本人の証言ではその時に乗った剣こそがあの霊剣フツノミタマとのこと。これはマジで最強のケツかもしれない。

『自慢ではありませぬが天津神の中では最強格の自負がありまする!!』
「ちなみに他には何か能力があったり?」
『ふぅむ……昔は舟守りや守護の力もあったのですが、ここにいるソレガシにはそちらの「面」
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