幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
[1/9]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
世界は未知に満ちている。
誰も踏み入れた事の無い未踏の秘境に、時間という荒波に消えた数々の歴史……この世界の人間なら誰でもその存在を知り、恩恵を受けている魔法という現象も、その根源は詳しくは分かっていない。
袋の中に何があるのか――それは袋を開けてみなければ分からない。
分からないからこそ、人は好奇心と探究心に身を任せて想像する。しかし、何千何万何億通りのその中身に関する仮説を立てた所で、それは推測の域を出ない。
もし、もしもだ。
袋の中身が、まったく想像だにしない物だったのなら…………その不安は、きっとこう呼ばれるのだろう。
恐怖、と。
= = =
「威勢の良さは買いましょう。楽しませてくれた礼です……少し遊んであげましょうか」
「抜かせっ!」
ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべて余裕を演じる幽鬼の主に、ワタルは右足を床に強く叩きつける。
すると、二人より少し前の床が爆発、粉塵を巻き上げてジョゼの視界を遮った。
“魂威・爆”――――ワタルが右足を踏み鳴らした際に床へ流し込んだ魔力を爆発させたのだ。
「まったく……人の家を壊さないでくださいよ」
「そりゃ失礼!」
ワタルの掛け声と共に未だ晴れない煙から鎖鎌が現れ、辟易とした風に零すジョゼに向かって襲い掛かる。
それを追うように、ワタルが粉塵から飛び出し走り込む。
「こんなもの……」
何の面白みのない攻撃を、ジョゼはつまらなそうに魔力を集めた二本の指で弾く。
ワタルは弾かれた鎌をキャッチし、右の鎌と合わせて切り掛かった。
「太刀筋は悪くないが、何の捻りも無い。それに……読めてるんですよ!」
「く……!」
再び指でワタルの斬撃を受け流して彼の体勢を崩したジョゼはとっさに身をかがめる。
その刹那、ジョゼの背後に現れた、一撃の威力と跳躍力を底上げする効果のある鎧、“黒羽の鎧”に換装したエルザの剣閃が空を切った。
ワタルの陽動に合わせてエルザがジョゼの後ろから奇襲……本来なら役割は逆なのだが、慣れない位置取りとは思えないほどに二人の連携の呼吸は合っていた。
しかし、ジョゼには通用しない。
だがエルザも然るもので、動揺を瞬時に消し去って追撃に蹴りを仕掛ける。
「はっ……」
「何!?」
「これもか……クソ!」
しかし、鎧の効果で威力を増している筈のエルザの蹴りは嘲るようなジョゼに何の苦も無く掌で受け止められてしまい、流石の彼女も驚愕に目を見開く。
ワタルは完璧なタイミングで仕掛けた奇襲がいとも簡単に破られて悪態をつきながらも、彼女のフォローにと、再び鎖鎌による斬撃を仕掛けた。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ