幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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のガジルが敗北したというのに、ジョゼは失望も焦燥、それどころか怒りすらも見せず、ただ笑っている。
その事に若干の薄気味悪さを感じながらも、再び“黒羽の鎧”に換装したエルザは疲労の色が濃いワタルの前に出て切っ先をジョゼに向ける。
「おい、エルザ……」
「いいから下がってろ。ナツの戦闘力を甘く見ていたみたいだな。私と同等以上の力を持っている、という事だ」
「謙遜はよしたまえ、“妖精女王”。君の魔力には素晴らしいものがある。この私と戦い、ここまで持ちこたえて見せた魔導士は君たちが初めてだ。それに……」
そこで言葉を切ると、ジョゼは掌に一つの魔力弾を精製し、エルザに向けて投げつけた。
「こんなもの……ッ!?」
速いには速いが、これまでの攻撃と比べれば遅いと言える速度だったため、エルザにはどうという事も無く、魔法剣で叩き落とそうとしたのだが……
「誘導式!? しまった……!」
ジョゼが腕を動かすと、魔法弾は風にあおられる木の葉のようにエルザの剣の悉くを躱して浮遊し続け、彼女の後ろで動けずにいるワタルの左半身に直撃した。
「ガッ……!」
「ワタル!」
彼自身にも原因の分からない消耗と疲労で動けないワタルはまともに喰らってしまい、爆圧で吹っ飛ばされてしまう。
「おやおや、辛そうですね。大丈夫ですか、“黒き閃光”? いや……」
「ぐ、ぅ……」
「大丈夫か!?」
痛みに呻きながらも、エルザに支えられつつよろよろと立ちあがったワタルの左袖は破れていた。
普段、癖のように握りしめている彼の左の二の腕には――――
「この世に多くの闇をばら撒いた義賊気取りの人殺し集団。世界で最も愚かで汚らわしい一族…………『星族』の末裔、と言った方がよろしいかな?」
星形の入れ墨……ただの星なのに、見る者になぜか奴隷の焼印のような閉塞感と不快感を抱かせる証がそこに刻まれていた。
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