幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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」
余裕としか思えない――実際そうなのだろうが――ジョゼの態度に、エルザは痛みと疲労の色が濃い表情を歪めながら疑問を口にする。
その対象は言うまでも無く、“魂威”を喰らっておきながら無傷のジョゼだ。
自分の属性と同じ魔法や現象を食して己の力とする滅竜魔導士という極めて特殊な事例を除き、魔導士の魔力の器というものは複数の魔力を受け入れる事は原則的に不可能である。
彼らのように特別強い器を持たない魔導士がその禁を破れば、拒絶反応で身体を壊してしまう。流れ込む魔力が強ければ、致命的になってもおかしくない。
“魂威”とは、その拒絶反応を利用して損害を与えるために編み出された技術なのだ。どんなに屈強な魔導士でも、それが魔導士であれば無傷はあり得ない。
にもかかわらず、嘲りの笑みを隠そうとせず、悠然とたたずむジョゼにダメージは見られない。
ギルダーツのように膨大な魔力量に任せて強引に防御した、という訳でもないようで、エルザは困惑していた。
一方でワタルの方は脳裏にある仮説が浮かんでいたが……
「一つ、講釈を――――」
「お前、俺の魔力と波長を合わせて“魂威”を受け流したな?」
「……年長者の話は聞く者ですよ、“黒き閃光”」
苦い表情で話を先取りしたワタルに、ジョゼは不快気だ。
そんな彼に構わず、エルザは驚愕に目を見開いた。
「そんな事、可能なのか!?」
「最初の魔法で、彼の魔力の波長は大体把握しましたからね。純粋な魔力を打ち込むなら、把握も容易い」
『最初の魔法』とは煙幕を作るために行った“魂威・爆”の事だ。
たったそれだけで、ジョゼはワタルの魔力の波長を掌握したと、事も無げに言う。
後は合わせるだけ、まるで赤子の手を捻るかのようなものだ、と嘯くジョゼに対するエルザの驚愕は至極もっともだ。
迫りくる魔力に対して周波数を合わせ、歯車のように通り道となるなど、“合体魔法”レベルのシンクロが必要になってくる。もはや、『不可能ではない』というレベルの技術だ。
しかも、魔力が激しく交差する戦闘中という状況において、逐一自分の魔力を操作して受け流すなど、およそ現実的な対策ではない。
躱した方がよっぽど早いし確実だ。
間違っても、『合わせるだけ』などという簡単な事ではない。
「可か不可かは重要じゃない。実際に目の前でやられたら、信じない訳にはいかないだろう」
とんでもなく高いジョゼの技術を見せつけられて苦虫を噛み潰したような表情をしながら、ワタルは立ち上がるが……
「(クソ、なんて魔導士だ……)」
内心を占めるのはジョゼの力量と技術に対する戦慄だった。
その手に持っている鎖鎌の鎖が絶え間な
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