幽鬼の支配者編
EP.28 聖十大魔道の力
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「フン……」
「なっ!? ……それなら――!」
背中を見せているにもかかわらず、空いている方の手でワタルの手首を掴んで攻撃を防ぐジョゼ。
後手で防がれるとは思っていなかったワタルは呆気にとられるが、それは一瞬だけ。
掴まれていない方の鎌を手放し、魔力を集中させる。
「“魂威”!!」
ジョゼの背中に掌底を叩き込み、収束した魔力を打ち込む。
それは……炸裂した。
「うわああああああああああっ!?」
「な!?」
だが、苦悶の声を上げたのはジョゼではなく、エルザだった。
彼女の悲鳴と彼女の足を掴んでいるジョゼの手から見慣れた魔力の紫電が走っている事に、ワタルは一瞬とはいえ思考を停止させてしまう。
当然、その隙をジョゼが見逃すはずがない。
「ほら、返しますよ!」
「ぐ……!」
ジョゼは片腕で軽々とエルザを投げ飛ばし、呆然としていたワタルは彼女を受け止めきれず、勢いに負けて吹き飛ばされてしまう。
「こいつはおまけです」
更に大きな隙を作った二人に対し、ジョゼは一瞬で膨大な魔力を集束して魔法弾を形成、まともに喰らえば一撃で意識を飛ばされそうなそれを投げつけた。
「(どうしてエルザに……? いや、それよりも……)クソ……!」
よほどショックだったのか、ワタルは対処が遅れてしまう。
だがそれでもとっさにエルザの身体を引き寄せて彼女と場所を入れ替え、魔砲弾に対する盾になった。
「ぐぅ……!」
そして被弾。
ワタルの呻きをかき消すように、意識が飛びそうになる衝撃と轟音が空間を包み、粉塵が舞い上がって簡易的な煙幕になる。
「ほっほう……よくあの一瞬で魔力の膜を形成できたものだ」
感心の言葉と共に、ワンダフルとばかりに、パチパチパチと拍手をするジョゼ。
そして煙幕が晴れ……
「まあ、無傷とはいかなかったみたいですがね」
「……よく喋るな……。大丈夫か、エルザ?」
膝をつき、魔力弾が直撃した右腕を抑えながらも、ジョゼを睨んでいるワタルの姿が露わになった。
咄嗟に形成した魔力の膜が功を奏したのか、右袖が破れて二の腕に刻んでいる黒いギルドマークが露出し、流れる血がそれを赤く染めているが、それ以外に大きな怪我は無い。
「これくらい、平気だ。ッ……ほらな」
「……そうか……」
背後のエルザに声を掛けてみると、掴まれていた足に魔力の残滓が放電のように残っているが、意識ははっきりしている。
激痛が走っているだろうに、気丈に立ち上がって見せた彼女に、ワタルはとりあえず安堵した。
だが先程の現象は、二人に大きなショックを残していた。
「しかし、どういう事だ? どうして……」
「まさか……
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