暁 〜小説投稿サイト〜
東方紅魔語り
紅霧異変
Part8 主人公
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 フランの手からカードを受け取る。

「スペル名は、幻符『ドッペルゲンガー』かな」

 赤い十字架が描かれたカードに、確かにそう記載されている。

「効力は使ってみてからのお楽しみー」

 そう言うと、フランは翼をゆっくりと動かし、空へ浮かび上がった。

「それじゃ、あんまり外に出ているとお姉様辺りに気付かれちゃうから。またねー」

 手を振りながら、フランは扉の向こうに消えていった。
 一人取り残された俺は、貰ったカードへ視線を向け、口を開く。

「・・・フラン・・・めっちゃいい子じゃねぇか」

 よく『危険で幽閉されている』と聞かされていたが、その認識は間違っていたのか?と、いま何処にいるのか分からない友人の言葉を疑う。
 そういえば、あいつは2次小説関連しか読んでなかったな。と思い出した。

「そうだよな、よく考えれば、『フランが幽閉されていた〜』なんて設定、原作の何処にも無かったしな」

 確かに『495年間、外に出ていない・地下にいた』とはあったが、『幽閉されている』なんて無かったような・・・、と思いながら、そのカードを懐にいれた。
 とりあえず、このカードはフランからの差し入れ。大事にしよう!
 と心に決めた所で・・・。

「いる?」

 部屋の扉がノックも無しに開かれた。
 そこには、悪魔のような翼を持った吸血鬼・レミリアが佇んでいた。

「まあ居ますけど、ノックくらいして欲しいのですが・・・」

「私の館だからいいの。まあいいわ、ちょっと貴方の能力を貸してくれない?」

「俺の能力ですか?」

 俺の能力・・・100と0のアレか?でも、あれが役に立つ場面なんてあんまり無いと思うが・・・。

「いーから、早くしなさい」

 レミリアは俺に背を向けながら急かす。
 まあ、俺は雇われている身だから断れない。
 大人しく頷き、その背中に付き添うように歩いた。






「・・・?」

 廊下を俺と歩いていたレミリアは、突然足を止めた。
 上方を見ながら動きを止めている。
 気になり、その方向へ視線を移動させた。
 そこにはーーー。

「よし、霊夢の奴は今頃コタツの中かな?」

 無残に破壊された壁と、その瓦礫の上に降り立っている一人の少女がいた。
 竹箒を肩に担ぎ、キョロキョロと周囲を見渡しながら、その魔女少女は呟く。
 まるで何かを確かめるかのように。

「それじゃ、霊夢に先越されないようにぱっぱと攻略しますか!」

 俺達の存在には気付いていないのか、その少女は無防備なまま意気揚々と腕を振ると、その竹箒に跨り、軽く瓦礫を蹴った。
 瞬間、その少女の体は重力に逆らうように空中へ浮かび上がり、その身を屈めた。


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