5部分:第五章
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うのだった。母の顔も見てだ。それから考えてこう告げたのである。
「それだけを」
「四粒ですか」
「では四ヶ月」
こう言って石榴を彼等の手から受け取った。そして自ら割りその四粒を口に含んでみせた。それから話した言葉はこうしたものだった。
「これで」
「ペルセポネー、これは一体」
「一年は十二ヶ月ありますね」
彼女は怪訝な顔で自分に問う母神に対して顔を向けて話した。
「そうですね」
「ええ、そうだけれど」
「ですから。私は八ヶ月はお母様のところにいて」
「八ヶ月は私のところに」
「そして残りの四ヶ月は」
ハーデスに顔を向けての言葉だった。
「あの方の下で」
「いてくれるのか」
ハーデスはペルセポネーのその言葉を聞いて述べた。
「それでは」
「そうです。貴方は私を愛してくれていますね」
「うむ」
ペルセポネーの言葉にこくりと頷く。それは事実だった。
「その通りだ」
「ではそれに応えます」
そうするというのだ。
「ですから」
「そうか。それでなのか」
「私は貴方の妻です」
こうまで言った。
「そしてお母様の娘です」
「私の妻・・・・・・」
「そして私の娘」
「それ以外の何者でもありません。だからこそです」
微笑んでの言葉だった。彼女の周りは暗い筈だは温かい空気に包まれていた。そうなったのは全て彼女によるものだ。彼女の愛に応える心がそうさせたのであった。
石榴の種 完
2010・4・5
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