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無欠の刃
下忍編
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に赤と黒の文様が浮かぶ。サクラもまた、それに倣うように蹲っていた場所からすぐさま離れ、苦無を構えた。
 しばしの沈黙の後、がさがさと、繁みをかきわけ、女が現れる。
 赤い、髪の毛。カトナよりは色素が薄い。が、紛れもない赤色。母とよく似た、赤。
 少しだけ、カトナの心情が動揺する。が、すぐさま感情を押し殺し、その女を睨み付ける。
 女は戦闘態勢に入った三人を見つめ、ハッ、と笑った。

「下忍のわりには勘がいいじゃねぇか、クソヤローども」 
「はっ、そういうお前は今年の受験生じゃねぇな。どっから、侵入してきやがった」
「てめぇらが知ることじゃねぇよ」

 そう口汚い言葉で罵った彼女が、懐へと手を伸ばすのを見ながら、カトナが腰を低くして構える。

 「…今度は、骨あるかもね」

 そう軽口を叩いて、カトナはにやりと笑って挑発した時、どくどくと、心臓が、息づいた。
 熱く、燃えるような感覚。
 いきなり黙ったカトナを、気遣うように見たサクラが、ひっ、と息を呑んだ。
 何事かとつられるようにそちらを見たサスケが、すぐさま血相を変える。
 黒いものが、溢れだしている。
 あわてて、カトナの首に触れようとするが、とぐろを巻いた蛇がその手を拒む。
 しゅーしゅーと舌を伸ばした蛇を無視し、カトナは目の前の存在を睨み付ける。
 女はその鋭い視線に笑いながら、自らの髪の毛を掴み、彼らの前に首を突き出した。
 黒が、その首でざわめく。

 「…知ってるかよ。呪印はな、例え封印されたとしてもひきあって、お互いの呪印を活性化させるんだよ、クソヤロー」

 女の首に、黒いものが這う。カトナの首もまた、黒いものが這いだし、目を黒く染めだし。目の赤々しさがより一層増す。
 そして、カトナの手に蛇が浮かぶ。
 やばい! 
 短刀を抜き、一直線に、その少女に向かって走り出そうとし。
 蛇が勢いよく、掌に噛みついた。
 握った掌に走る鈍い痛みに、カトナが、持っていた短刀を落とす。
 同時に、女が口に笛を咥え、息を吹き込んだ。

 「死ねよ!」

 おとが、ひびく。

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