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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
序章
02話  竜の花火
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 嵩宰恭子は不意の援軍に半ば呆然とつぶやいた。
 自身の駆る武御雷に似た機動―――それは武御雷のテストヘッドであった不知火壱型丙以外には取れる機動ではない。

 だが、特出すべきはその中で最前線を疾駆する漆黒の不知火だ。
 凄まじい機動制御――いや姿勢制御だ。
 機体各部の空力作用パーツによる空力制御を機体の姿勢安定化に用いらず、逆に機体を不安定化させることによる重心の急激な変動を用い、変幻自在な動きを可能としている。
 日本帝国の戦術機動とは正反対の乗りこなし方―――相当な手練れだ。

 一体、どういう発想を得られればあのような出鱈目な機動戦技を行えるのか想像すらつかない。その技量と発想は驚嘆の一言に尽きた。





中隊各機半円陣形(セミサークルワン)!』

 漆黒の不知火壱型丙と共に戦場を疾駆し、その両腕に異なるタイプの突撃砲に加え背に背負った突撃砲の銃撃という名の蹂躙にてBETAを駆逐しつつ頃合いを見計らい指示を飛ばす。

 要塞級の駆逐を終えた部下が駆る純白の不知火たちが指示を受け、一糸乱れぬ動きで蒼の武御雷を半円の陣形で囲い、全突撃砲を用いて弾幕を構築した。


『―――こちら斯衛軍第6大隊所属、ドラゴンホース中隊。救援に参りました。ご撤退を。』
『貴隊の救援に感謝する―――しかし、助けられてノコノコと戻る訳には往かない。』

 他者の眼が戻ったが故か、摂家としての顔を取り戻した嵩宰恭子が答える―――実際、高性能アビオニクスを搭載した武御雷タイプRは指揮官機としてはこの上ないほど適役の機体だ。
 それに順当なら、この部隊の指揮権は彼女に委ねられるべきなのだろうがそうはいかない。


『HQが壊滅した以上、誰かが主柱となり軍の再編を行わねばなりません。
 強権であろうと、此処は貴方様が主軸となり軍の再編を―――時は我らが稼ぎます。』


 ――本来、彼女が背負うべき責務、それを自分たちが代わりに矢面に立つことで時間稼ぎを行う。
 そして、彼女を主軸として軍を再編し事態に対処しなくては大きな犠牲が出る―――摂家であり京都大火での英雄譚を持つ彼女なれば、恐慌状態の帝国軍を立て直す精神的主柱としても十分に機能するはずだ。


『嵩宰恭子様。帝都での伝説聞き及んでおります貴方様でなければ部隊の再編には大きな時を有するでしょう―――兵貴神速、お早く。』
『ぐ……将が部下に死ねと言え、そう言うのか。』

『それが雷神の鬼姫、という英雄の分という物なのでしょう―――急いでください、壱秒判断が遅れるたびに兵が幾人も志半ばで果てるとお考えください。』
『―――諸君らの武士道に敬意を表す。ハイドラ中隊各機、ポイントa-7に集結!撤退するぞ!』


 摂家としての責務を正
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