第三話:偵察
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ジを超えてヘイトを稼ぐことができた。仰け反っている間に、体制を整えるべく少し距離をとる。
(動きが鈍重で見極め易い…ソードスキルの使い所をミスらない限り、危険はいまの所はない、か)
『グルルル……』
唸り声を上げてオレを睨みつけてくれる竜に、嘲笑を浮かべる。が、すぐに引き締めて剣を握る手に力を込める。
ガギィン! という金属同士が激しくぶつかる音が響き、オレのHPが削れる。
(わざと受けてみたが、攻撃力はかなり高いようだな。防御と回避は徹底させておいた方がいいだろう)
まだ回復は必要ないと判断して、開きかけた距離を詰める。
「ハァッ!」
回転力をプラスした横薙ぎで、竜の右前足を斬る。硬い鱗を削り、内部の肉を抉り切る。血にも似たライトエフェクトを振り払って、更に剣を叩きつける。
『ガァァァァァァァァォッ!』
と、そこで一際大きな竜の怒号が響いた。恐らくダメージが蓄積して怒り状態になったのだろう。咄嗟に距離を取ったオレからも見える程に、竜の全身に赤い筋…恐らく血管が浮き出ていた。
「キリト! アスナ! 用心しろ!」
これまでのボス戦で怒り状態のボスが思わぬ行動をとってきた経験は幾つも存在する。キリトとアスナは攻略組きってのトッププレイヤーだ。オレに言われずともそんなのは承知な上。既に距離をとっている。
『ウグルルラルル……』
竜が鎌首をもたげた。口元に燻る黒煙から見て、恐らく来るのはブレス攻撃だろう。取り敢えず正面から一気に側面まで走り抜ける。
『ガァァッ!!』
直後、竜の正面全域が黒炎に飲み込まれた。
「…ブレスの範囲が広すぎる…!」
怒り状態のブレスは正面全てが攻撃範囲内となると、位置どりがかなり重要になってくる。あのブレスにどれ程の威力があるのかは分からないが、恐らく盾役以外のやつが受けるのは危険だろう。なんらかのデバフ効果もありそうだからな。
だが、その広範囲ブレスも避けてしまえば絶好のチャンスとなる。
「ォオっ!」
気合を迸らせ、単発重攻撃ソードスキル、《ヴォーパル・ストライク》をブレスによって膨張している腹へ放つ。
一点に重きを置いた突きは竜の腹へ突き刺さり、その動きが急停止した。
悲鳴をあげて倒れる竜。
「退避するぞ!!」
様子見は十分だろう。これ以上攻めればきっと三人では対処できなくなる。そうなればオレ達の未来は死一択だ。
ここで攻め立てたいのはヤマヤマだが、2人もそれを理解しているはず。頷き返されたのを見て、オレは一気にボス部屋の出口へ急いだ。
† †
「…ふう」
ボス部屋から無事脱出することができたオレ達は
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