第三話:偵察
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目の前に聳える巨大な扉。この先に、駆逐すべきボスがいる。が、今日は討伐ではなく情報収集が目的だ。無闇に攻撃せず、回避に専念すればこのメンツで死者が出ることはないだろう。
「……行くぞ」
二人が頷くのを確認して、オレは扉に手をかけた。内部からの強烈な威圧感でピリピリとざわつく。それを無視して、一息に扉を開け放つ。
「…これは」
第71層のボス部屋は、かなり広く遮蔽物の何もない空間だった。
「天井が高いな…有翼系のモンスターか?」
「かもしれないね。上からの奇襲に気をつけていこう」
背後のキリトとアスナの会話を聞きながら、エスピアツィオーネを鞘から引き抜く。
ゆっくりと歩を進め、フロアのほぼ中心に辿り着いた時、それは、突然現れた。
『グオオオオオーーーーン!』
空間を裂くような雄叫びがフロア中に響き渡る。思わず耳を抑えてしまうオレ達の前、濃紺の鱗を持つ巨大なナニカが宙から降下してきた。
「…ドラゴンか」
表記されたボスの名は、フェルゲニシュ・ザ・シャドウムーン。巨大な体躯に、それ以上に大きな赤色の翼。後ろ足に鎧のようなものがついているのを見ると、そこを攻撃してもいい効果はなさそうだ。
「…どうする、レン?」
「攻撃パターンもある程度把握しておきたい。オレがヘイトを取り続けるから、各自、回避に専念して散開しろ…危なくなったら即転移。死ぬことは許さないからな」
「了解」
互いに頷き合って、アスナは右へ、キリトは左へ、そして、オレは正面から突っ込んだ。
雄叫びがフロアに響き渡る。先攻は、オレだった。
「オオッ!」
四足で立つ竜の、右脚にエスピアツィオーネを叩きつける。刃が抜ける感覚、前脚への斬撃は普通に通るようだ。
『グルァァッ!』
「っ!」
短い唸りと同時に繰り出してくる右前脚の薙ぎ払いをバックステップで躱す。
「セヤァッ!」
「ハアアッ!」
その隙に、アスナが右から、キリトが左から竜へソードスキルを叩き込んだ。攻略組きってのエースプレイヤーの二人だ。その威力は凄まじい。故に、オレが竜のヘイトを稼ぐにはその威力を超える攻撃が必要な訳だ。
怯んでいる竜の顔付近まで跳躍。これまでの経験で、竜種らは顔面が弱点のことが多い。確認の意味も込めて、全力を叩き込む。
「オ、らァっ!」
片手剣最上位ソードスキル《ノヴァ・アセンション》
ほぼ全ての剣技の先を取ることが可能な最速の上段斬りを初撃に、一撃一撃が単発重攻撃に勝るとも劣らない正に最上位に相応しいソードスキルだ。
それが、竜の顔面にクリーンヒット。どうやら予想通り弱点部位だったようで、なんとか二人のダメー
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