幕間二 氷炭、相愛す
4幕
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した人」じゃないか)
されども一度自覚した想いは、ジュードの胸にしっかりと根を下ろした。
ジュードとフェイ、そしてセルシウスは、元いたマクスバード/リーゼ港に戻ってきた。
往路と同じく、風で編んだグライダーとセルシウス自身を目撃されて騒ぎにならないよう、埠頭の死角になる場所に着地した。
「ありがとう、セルシウス。おかげで本当にたくさんのことが分かったよ」
『……お前はその道具の開発を続けるのだな』
「続けるよ。それが僕のやるべきことで、やりたいことだから」
セルシウスは呆れたように、その中にも親愛が垣間見える表情で、笑った。
『いいだろう。私の自我を塗り潰して操るようなことがなくなったら、今度こそお前が、再び私を喚んでみるがいい。ジュード・マティス』
「! うん、必ず」
セルシウスは微笑みを残し、空気に融けるように姿を消した。源霊匣の中に戻ったのだ。
「ね、ジュード。分かったの? 源霊匣のタダシイ造り方」
フェイが下からジュードの顔を覗き込んできた。
ジュードは肯いた。
「実を言うと、フェイが言ったことで薄々感づいてたんだ。フェイ、前に微精霊と会話できるって言ったでしょ?」
「うん。言った。霊力野(ゲート)が開いてからずっと、フェイには精霊のコエが聴こえてた」
「つまり精霊側にも〈言葉〉があって、人間同士と同じで、精霊とも〈言葉〉で何らかのやりとりができるんじゃないかって。今日のセルシウスとジランドの話で確信が持てた。精霊とのコミュニケーションが、源霊匣完成の最後のカギなんだ」
コミュニケーション、とフェイは反芻した。
「……ジランドはそこを間違えた。セルシウスを、自我を奪って都合よく動く人形にしたから、源霊匣は暴走した。ジランドもセルシウスとちゃんと対話していたら、もしかしたら、あんなことにならなかったかもしれない」
「そう――」
会話が途切れた。フェイにはつまらない話だったのか。それとも熱心に話すジュードとの間に落差を感じたのか。
「ジュード」
「ん、なに?」
「源霊匣のタダシイ造り方分かったジュードに、お祝い、あげる」
フェイはブレザーのポケットから取り出した物をジュードに差し出した。
魔物の体表の欠片らしきものに、穴を開けて紐を通しただけの、シンプルなネックレス。
これにはジュードも困り果てた。
「ごめん、フェイ、これ貰えない。もう、別のを着けてるんだ」
ミラからの贈り物、青いガラス玉のペンダント。彼女と繋がる、誓いの品。それを服の上から握って拳を作る。
「いいから」
フェイはジュードの拳を両手で包ん
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