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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第三章『更識簪』
第三十七話『本日は休息日和・食堂編』
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愛想に鍋を振るう老人――厳さんだ。
白髪を角刈りにし、肌は焼けていて褐色、還暦を過ぎたとは思えない筋骨を維持している。
釣り上がった太い眉毛と、鋭い目つき、眉間には二本の線が刻まれていて、顎の左と右の額に切り傷の痕が残っている。
まさに“(いわお)”という言葉が似合う、武骨な面容の人だ。
何でも昔は老舗料亭で板長をやっていたらしいが、そこを辞めてこの店を構えたらしい。辞めた理由は蓮さん曰く、「店主さんが代替わりしていがみ合っちゃった」とか。職人気質な厳さんらしい逸話だ。
俺にとっては、鈴の親父さんと並んで目標としている、俺の知る限りで“最高の料理人”の一人でもある。
「んでさ、一夏に修夜。鈴と、誰だっけか? 確かファースト幼馴染みと再会したんだってな?」
食事を始めて、少ししたころ……合間の雑談として弾がそう言ってくる。
「ああ、箒の事な」
「ホウキ……? 誰の事ですか?」
「俺と一夏の最初の幼馴染みの事だ」
答える一夏に蘭が質問してきたので、俺がそう補足する。
「あっ、それでファーストなんですね。それはそうと、鈴さんが帰ってきてるんですか?」
俺の補足に一度納得した蘭が、再び質問を投げかける。
「ああ、先月の末辺りに、こっちに転入してきたんだよ。急だったから、俺達もびっくりしたけどな」
「へぇ……」
一夏の答えに、蘭は頷きながら答える。そー言えば、先日の件でどたばたしてて、鈴の奴に連絡入れとけって言うの忘れてたな……。
因みに、蘭と鈴は割と仲が良い。思考が似ているのか、趣味などの話題で良く盛り上がっているのを見ていたからな。
違いがあるとすれば、俺に対して喧嘩を売るか売らないかぐらいだが……ほんと、どうしてそこも似なかったのか不思議なくらいだ…。
「そうそう、その箒と再会して同じ部屋だったんだろ、一夏?
 メールで聞いてた限りだと、色々苦労してたみたいだけど――」
そんな風に考えてる俺を他所に、弾と一夏の会話は続いていて、同室の件に触れたその時……。


――がたたっ!


「お、同じ部屋!?」
何故だか急に、蘭が取り乱して席を立ち上がる。後ろでは、ワンテンポ遅れて椅子が床に転がった。
「ど、どうしたんだよ、蘭? 落ち着けって」
突然の事に、一夏は困惑しながらも蘭を宥める。かく言う俺も、突然の蘭の行動に些か状況がつかめていない。
「あ、あの、一夏さん。同じ部屋って言うのはつまり、その人と寝食を共にしてるって事ですよね……?」
「ま、まぁ、そうなるかな。けど、それは先月までの話で、今は修夜と一緒の部屋になってるけどさ」
そんな俺たちを他所に、蘭は質問し、一夏は答える。何故だろう、蘭の表情に必死さがある気がする……。
「い、一ヶ月近くも女性と同居してたんですか!? 一夏さんだけでなく、修夜
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