暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
宮条麻生は少年にこの世での根本的な生き方を説いた
[1/6]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
深夜2時 新港埠頭
ホテル『ニューグランド』での殺し合いは、天井のシャンデリアが落下した事による不祥事という事で片づけられた。実際、壁のあちこちに銃弾による穴が開いていて、どう見ても普通の事故として処理出来ない惨状なのだが――殺し屋統括情報局はケンジが想像している以上に規模が大きい組織だった。
一部の暴力団や麻薬密売組織ならまだしも、殺し屋統括情報局は警察の一部との癒着もあるようだ。ほとんどのコネが局長絡みだというので、彼の本性はさらに不可解なものに包み込まれた。
今回の件も、本部からの要請で組織と繋がりがある警察だけが現場に送られ、証拠隠滅に尽力したそうだ。正義を掲げる警察内部に仲間がいるとなれば、どれだけ街を荒らしてもほとんど問題にされないのも頷ける。
そんな中、ホテルという舞台で生死の削り合いをした殺し屋達は新港埠頭に集まっていた。本来なら作戦が終了次第、各自解散の筈だったのだが、本部すら予想していなかった事態が起きたため、急遽招集がかかったのだ。
ちなみに局長からは連絡がないらしい。彼なら全てを把握していそうなものだが、彼の電話番号を唯一持っていた八幡はもうこの場にはいない。今はチームCのリーダー、大河内が本部にいる副局長に電話を掛けて、報告や連絡を取り行っている。
ケンジは初めて来た時よりも円が空疎になっているのを感じ、胸が苦しくなった。あのあと宮条と共にホテルを脱出し、チームCの車に乗って直行で来たため、今はまだ狩屋の生死情報は届いていない。だがケンジの中にはある種の諦めがあった。
『改めまして、私が副局長の阿久津だ。よろしく』
野太い男の声が送話口から聞こえてくる。ケンジは内心に溜まる悲しみを表に吐き出さないように、取り繕った笑顔を携帯に向かって浮かべながら挨拶した。
「初めまして。暁ケンジです」
『学生だそうだね。我々は強要するつもりはない。逃げ出したい時はいつでも逃げ出てくれて構わないよ』
ケンジを試すような言葉に、彼はすぐに言葉を返した。
「大丈夫です。もう逃げる位置にはいませんから」
『そうか』
声からは読み取れなかったが、ケンジには阿久津が笑っているような気がした。
簡潔な自己紹介が終わったところで、携帯の持ち主である大河内降矢が事後報告を始める。
「まず作戦の結果ですが、半分成功、半分失敗でしょうか。敵の更なる詳細と新たな敵勢力の存在を知る事が出来ましたが、我々にも被害が出てしまいました。チームAの八幡隆太、そしてさっき仲間から入ったのですが、狩屋達彦の死亡も確認されたそうです」
「……!」
ケンジが息を飲んだのを黙殺して、大河内は言葉を紡いでいく。
「今回の依頼相手だったヘヴンヴォイス
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ