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横浜事変-the mixing black&white-
宮条麻生は少年にこの世での根本的な生き方を説いた
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ームBに取り込まれる事で決定した。最初は各チームに一人ずつ分担して収める案があったのだが、それだと戦力に偏りが出るという大河内の見解で中止になった。

 ケンジは挨拶としてチームBのリーダーと初めて会話した。新人だから迷惑がられるのではないかと心配したが、リーダーの赤島は何の事はないと片手を横に振って言ったものだ。

 『むしろ新人の方が殺しに拍車がかかるってもんだ、期待してるぜ』

 ――僕はそんな過激な事はしないけどね……。

 顔に戸惑いの笑みを浮かべたのはまだ記憶に新しい。つい半日程前の会話を思い出して、彼は苦笑いした。しかしその笑みも次には一瞬で消え去る。

 ――でも、笑ってもいられない。

 ケンジは一階に向かって昼食の準備に取り掛かる。母親はとっくに仕事で家にはいない。今日は学校だというのに起こしてすらくれなかったらしい。テーブルに『遊んでたぶん勉強すること』と書かれた置き手紙があった。それを見て溜息を吐いている間も、阿久津の言葉が脳裏に思い出される。

 『京橋会が雇いの殺し屋に事情を聞いたところ判明したのだが……殺し屋集団の名前は裂綿隊というそうだ』

 ――意味は『綿のようにヤワい物にも容赦せずに亀裂の刃を立てる』。

 ケンジは味噌汁を作る一方で、阿久津が口にした集団名の意味を心の中で反芻する。そして彼らのやり取りをまた脳内で再生した。

 『彼らの行動が一体何に繋がるのかは分からない。今後は警戒も兼ねて行動してもらいたいと……』

 阿久津が報告書を読み上げるような口調で殺し屋達に敵の存在を伝える中、大河内が言葉を発していた。

 『ならば、我々はその裂綿隊なる集団を排除するべきではないでしょうか』

 突然の提案に、阿久津はともかく、円を形作る殺し屋達すらも息を飲んだ。そんな彼らの反応などに気圧される事なく、大河内は輪郭の細い容姿を真剣な色に変えていた。

 『敵は横浜の殺し屋。つまり我々が過去に戦った事のある人間もいる。これを機に、奴らとの決着を付けて、殺し奴統括情報局の存在を誇示する方が良いかと』

 『待てよ。さっき俺は他人事じゃ済まないとは言ったが、何も全面戦争の火蓋切ろうぜとは言ってねえぞ』

 赤島が引きつった笑みを顔に貼り付けて大河内の意見を否定した。一見おどけているようにも見えるが、彼の目は一切笑っていない。

 そんな先輩殺し屋に対しても、大河内は冷静沈着な態度で論に言葉を付け加えた。

 『何もこの街を滅ぼそうとしているわけじゃありません。この組織の情報網なら、相手さえ解れば位置なんて特定出来る。そうでしょ?』

 それ以外の意見は許さないと言っているようにも聞こえる彼の言葉に、二人の会話に耳を傾けていた副局長がノイズの混じった声で呟い
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