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横浜事変-the mixing black&white-
宮条麻生は少年にこの世での根本的な生き方を説いた
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とお礼を言われてからずっと口を開いていない気がする。そんな彼女はいつも通りの達観した面持ちで、法城の言葉に同意していた。
それはこの先について考えれば当然の答えであり、否定する余地は全くない。それを十分に理解しているのに、ケンジはどうしても奥底で突っ掛かっていた。
「その、僕も法城さんの意見には賛成なんですけど、一つ気になる事があります」
「ん?ケンG不安事?」
「いや、不安とかじゃないんですけど……」
そこでケンジは法城から宮条の方に身体を振り向かせ、深夜の埠頭に声を投げかけた。
「宮条さんは、何も感じないんですか?」
「感じないって、何に?」
ケンジの視線を受け止める彼女の表情は平然としていて、その内情を覗かせる素振りも見せない。それがケンジには納得出来なかった。
「八幡さんと、それに狩屋さんもこの殺し合いの中で殺されました。殺し屋だから仕方ない、とかそういうんじゃないと僕は思います。殺し屋だって人間じゃないですか。悲しいとか、そういう気持ちは無いんですか?二人が死んだ事実を簡単に受け入れて、他のチームに混ざれるんですか?」
「……純粋なのね、君は」
ケンジの疑問の言葉を受けながら、尚も宮条は涼しい顔をしていた。青シャツにトラッキングパンツという統一性のない服装に身を包み、ビルの間から
覘
(
のぞ
)
く観覧車のシルエットを眺めている。まるで自身の感情を意識せんとしているかのように。
だが、そんな彼女から負のオーラが湧き出ている事を、ケンジは素人ながらに察知した。宮条の口が慣性に任されて動き出す。
「私だって、二人が死んだ事に悲しみ一つすら浮かべてないわけじゃない。リーダーとは4年、狩屋とも1年近く一緒に仕事をしてきたんだから、仲間だって意識は勿論あった。でもね」
宮条はケンジの目を見据え、ゆっくりと言葉を吐いた。
「今は止まっていられない。過去はね、無慈悲なまでに変えられないの。二人が帰ってくる事はもうない。だったら……私達は『事実』だけを飲み込んでやればいい」
「頭の中には、いつだって彼らとの思い出が詰まってるんだから」
自分にも言い聞かせるように呟いたその言葉は、とても柔らかくて、どうしようもなく痛烈だった。
*****
次の日 ケンジの部屋
目覚まし時計の連続した音が耳の奥にある鼓膜を振動させる。それはコンマにも満たない光速の速さで脳に伝達して、少年の意識を目覚めさせる。
ケンジは針が差す時刻を見て『もう12時か』と肩を落とした。一応8時間の睡眠は取ったが、それでもまだ眠れる自信がケンジにはあった。そのため、今の目覚めはとても最悪な形だった。
深夜の会合で、チームAの残存戦力はチ
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