暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
硝煙の臭いで塗れる戦場の中で、殺し屋達は互いの命を奪い合う
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っている三人の男のうち、一人を拳銃で二発撃った。サプレッサーである程度軽減された銃声と同時に男が呻きの声を上げる。

 「がッ……」

 何も見えない上に何も聞こえない。そんな中で自身の脳天に銃弾を叩き込まれた男の結末は、あまりにも不憫だった。自分だけが撃たれた理由を考える暇さえ与えられなかったのだから、哀れとしか言いようがない。

 すでに階の中は静まり返っていた。夜だからか、チェックインの時間を過ぎたからか、それとも、闇を蠢く者達の戦いが終了したからか。

 その中で少年は呟いた。誰に届けるわけでもない、感情を取り除いた一言を。

 「……仲間を殺しただけの罪は背負ってよ」

*****

数十分前 同時刻

 ケンジが宮条の元へ走り去ったあと、狩屋は自身の右足を撃った男に鼓膜を破くための張り手を食らわせた。痛みによる悲鳴を上げてその場に崩れ落ちる男の顎にアッパーを加え、完全に沈黙させる。

 「……くそ、やってくれんじゃねぇの」

 強がって笑みを浮かべる。そのままカッコよく立ち去ろうとしたのだが、突然下半身に力が入らなくなる。迫りくる廊下に成す術もなく、狩屋はその場に倒れ込んだ。

 ――左足まで撃たれちまったのかよ……。

 足に不純物が埋め込まれた強烈な痛みを我慢しつつ、彼は勢いよく仰向けになる。その衝撃で傷口が開く虞があったが、今は気にしなかった。

 「お前か、俺を撃ったのは」

 喋る度に口がわなわなと震えるのを嫌に思いながら、彼は眼前に立つ少年の顔を見据える。顔に苛立ちと殺意を滲ませる少年――田村要は片手で腹を押さえながら、もう片方の手で狩屋に銃を向けた。狙いを定めている位置は腹部だ。

 「……やられた事はやり返す。お前ガキだな」

 「殺し屋のくせに金髪にしてピアスまで開けてるチャラ男には言われたくねえよ」

 「まだこっちの方が良いとは思うぜ?」

 狩屋はそう言いながらマウントしていた拳銃を引っこ抜いて要の眉間辺りに銃口を向ける。互いに銃を向け合うという緊迫した状態の中、狩屋は眼前の少年に問い掛けた。

 「……なぁお前、何でさっき別の方見てボケーっとしてたんだ?腹に綺麗に入ったの、半分はお前のせいじゃね?」

 「お前には関係ない」

 「そうかい。じゃ、何でお前は俺より年下っぽいのに殺し屋やってんだ?俺だってまだ成人迎えてねえのに」

 「……なんだお前、俺と仲良くなりたいのか?」

 「そういうわけじゃねぇよ。ただ気になっただけだ」

 狩屋は少し懐かしそうな顔を浮かべ、トリガーに掛ける指に力を込めてこう言った。

 「昔の俺みたいに、友達が欲しそうな目をしてたのが……」

 だが、狩屋が紡ぐ言葉は最後まで吐き出されずに虚
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