暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
硝煙の臭いで塗れる戦場の中で、殺し屋達は互いの命を奪い合う
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状の物を取り出した。見慣れていないケンジは爆弾だと思って、自然と狩屋から距離を取ってしまう。そんな彼を見て察したのか、狩屋が「閃光弾だから建物がぶっ壊れたりはしねぇよ」と苦笑した。
「目眩ましなんてチャラくせぇけど、今はこれしかない。いや、敵が三人って事は……姐さんがまだ半分引き付けてんのか……」
狩屋は目を閉じて少し唸った。数秒後、意を決したように閃光弾をケンジに渡し、はっきりと言った。
「お前、姐さんとこ行って、これ使って脱出しろ」
「っ!」
「姐さんの方から絶え間なく銃声が聞こえてるのは分かるだろ?つまり姐さんはまだ生きてる。でもそれは死ぬ事と同義だ。なら、ここは新人のお前と一緒に逃げるべきなわけよ」
「狩屋さんはどうするんですか」
「突っ込む」
「死ぬじゃないですか!」
平気そうな顔をして言う狩屋にケンジは怒鳴った。彼が声を張り上げる事自体、とても珍しいのだが、ケンジ本人は自分の変化には気付いていなかった。
一方、本気で怒鳴られた狩屋は当然びっくりしていて、そのまま驚嘆の声を呟いた。
「……お前がそこまでデカい声出せるとは思わなかったぜ」
「えっ、あ、すいません……」
「謝るなよ。つか時間がねぇ。あいつらは俺らを警戒してこっちには来ないけど、反対側から回られたら終わるぞ」
「……でも、狩屋さん」
「お前、俺を甘く見るなよ?こっちは拳銃より近接戦闘得意なんだぜ?」
そう言うが早く、狩屋は立ち上がると同時に敵がいる廊下へと躍り出た。ケンジが声を掛ける暇さえなかった。
銃弾が飛んでくる恐怖すら忘れて、ケンジは狩屋が走って行った通路に身体を乗り出した。そこで目に飛び込んだのは、敵の顔面に掌底を打ち込む狩屋の姿があった。しかしその直後、もう二人のうちの一人に
右太腿
(
みぎふともも
)
を銃で撃たれてしまう。
「狩屋さん!」
「とっとと行けバカ野郎!」
ケンジには顔を向けないまま、彼は叫んだ。何故かケンジの方を茫然と見ていた敵の腹に拳の下部を突き立て、動かせない右足を軸にして戦い続ける。
「俺にもカッコいいとこ見せろっての!」
その言葉に押されて、ようやくケンジは戦闘が行われている通路から駆け出した。今は宮条の元に行って、早く撤退しなくてはならない。彼女の疲労はもう溜まりに溜まっている筈だ。
「早く……早く……!」
足が恐怖でもつれそうになるが一心不乱に走り続ける。今までの仕事で、これほど心臓が破裂しそうになる感覚はなかった。それはそれで異常な話だが、ケンジはそんな自分の異端性に気付けない。八幡が死亡した事が彼の思考に不安定な何かを生じさせてしまったのかもしれない。
八幡の
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