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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第二章 彼と彼女の事情
第十二話  彼女の事情
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そもそも試召戦争では昼休みなど存在しない、もし休みができるとしたらそれは停戦協定が成立したときぐらいだ。
こちらからは姫路さんを後退させて全兵力で一点突破という強硬手段に出れないことはない。(相手がBC連合でもだ)
だから、僕としては停戦協定なんて悠長なことはしたくない。
あるとすればBから提案があるときぐらいだろう。
そしてその相手が相手だ、停戦協定を結んでくるとすれば同時に何かしらの作戦を立てているということに通じるだろう。
相手の立案してくるであろう作戦、それが予測できれば当然カウンターを効果的に行うこともできるだろう。

停戦協定で得することなど高がしれているし、こちらに最終的にダメージになることと言えば、停戦中にBクラスの持ち点が圧倒的に増えること(ほぼあり得ないことではある)、教師を呼びに行くときに邪魔に会わずに済むようになるだとか、もし昼休みに停戦があるなら部隊移動をほかのクラスの生徒たちの中に紛れ込ませて移動させるとか、ならこちらも把握していない場所から強襲を掛けることができる……ぐらいではないだろうか。
様々なことに考えを巡らせていると、すっかり渡り廊下の近くに着いていた。

このことに不思議に思うかもしれないが、この文月学園全体の総面積は普通の公立高校の軽く二、三倍ある。
学力低下を食い止める為の有効な手段として注目を受けている試験召喚システムを取り入れている試験校として、国から莫大な援助を得ていることで可能としている。
学外の評価に過敏に反応しなければならないが財源的にはかなりの余裕があるらしい。
旧校舎一つだけであっても、普通の公立高校の全生徒が何ら苦無く勉学に励むことができるであろう。(ただし教室設備の話はしない)
そんな巨大な二つの校舎を唯一行き来することを可能にする渡り廊下は、空き教室から見れば一つの校舎の端から端へと移動するほどに時間がかかるわけで。走るのがばからしくなってくる。

さておき、視界にようやく特徴的なふんわりとしたウェーブがかかった髪の女の子や、彼女を中心として渡り廊下を警備しているクラスの連中が見えてきた。
何人かはこちらが声をかける前に敬礼してきたのだが、姫路さんは真剣そのものの眼差しで廊下の向こうを睨んでいた。
新校舎側の階段は、旧校舎側から見れば渡り廊下を進んで少し進んだところの左にある。
前回は奇襲作戦をこちら側から階段を使って仕掛けたが、今回は防戦一方であるため、逆に階段から敵が来ることに神経を尖らせなければならない、とは言えそこまで気張らなくとも。
「瑞希さん、こちらの戦況はどうでしょうか。」
「千早さん!いえ司令と呼んだ方がいいですか?」
まさか姫路さんにまで司令だなんて言われるとは思いませんでした。
「……千早でお願いできますでしょうか
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