第二章 彼と彼女の事情
第十二話 彼女の事情
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第十二話
____11:00 旧校舎四階空き教室____
Fが拠点代わりにしている空き教室に戻ると、そこには姫路さんの姿なかった、恐らく渡り廊下に出ているのだろう。
姫路さんが渡り廊下にいるだけで、攻撃を仕掛ける側に大損害が出ていることは、Bクラスとしては忌忌しき事態だろう。
どうにかして彼女をあそこから切り離そうと躍起になって、島田さんに対しての工作と似たようなことは行ったに違いない。
(吉井の怪我といった偽情報で、聡明な彼女が持ち場を離れていたりしたら呆れますが……そんなことになっていたら、この拠点は一挙に壊滅しているはず。)
「姫路さんは渡り廊下でしょうか?」
「司令!それに副官も!ってあぁはい、姫路副官は渡り廊下ですよ。」
「ありがとう。藤堂君、目立った情報や本陣から何か要請などありましたか?」
「今のところ本陣からは「飯を早めに食っておけ」が来たぐらいです。MFの残存からの情報はCが異様に一階とCクラス本陣に兵力を集中させているということぐらいでしょうか。こちらは土屋の情報ですが、Bは一旦補給を重視する模様です。」
「なるほど、こちらの回復試験は順調かしら?」
「はっ、指示通り撃破した相手の部隊にくっついてきている教師にそのまま回復試験を頼んでいます。得点の低下はなんとか食い止めていることだと思いますが代表しか正確なことは言えないと思います。」
「ではそのままお願いします。私は一旦渡り廊下に向かい、姫路さんの援護に入ります。秀吉君はこちらの守備に戻ってください。藤堂君は私の居なかった間の報告をまとめてください。回復試験を受けていらっしゃる方はもう少し時間をかけて頂いて構いません。」
「了解じゃよ、皆頼むぞ!」
「「イエッサー!!」」
後で貰った報告書によると、姫路さんも何度か休憩に空き教室に戻ったようだがそれを聞きつけたBが、姫路さんが留守にする度に来襲してきたらしい。来襲の報告を聞く度に、何度も前線に緊急発進を姫路さんはしていたということだ。
姫路さんは人よりも体が弱いと聞いている。
こんな風にろくに休みが取れていないせいで、疲れが早くに出て隊長を崩したりしないだろうか。
やはり一度、前線から姫路さんを後退させるべきだと僕は思った。
そのタイミングは僕がフルタイムで渡り廊下を警戒して、残りの兵力で旧校舎の階段を防衛する時であろうとも。
今朝から今に至るまで、姫路さんには抑止力としての重要な布石となっている、というよりも火力不足のFクラスにとっては虎の子と言っても過言ではない。
「昼休みがあればそのタイミングで休ませるのですが……」
教室を後にして渡り廊下の方に歩いていく、渡り廊下の方から叫び声が聞こえていたら走っていくつもりだが、幸い今は敵の攻撃は止んでいるらしい
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