第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury:『Necromancer』
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メス》』に─────
………………
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現在時刻、十九時。幾ら長い夏の昼とはいえ、この時間になれば夜の気配の方が強くなる。昼間と比べれば幾分はマシになった空気の熱、しかしまだ、アスファルトから立ち上る熱気が通行者を苛んでいて。
『やっぱり革靴はあっついニャア、水虫が恐いナ〜ゴ』
「ちょっ、汚っ! てか臭っ! 結局、近づくなって訳よ」
「さっさと超消臭ってください」
『ふ、二人とも酷いニャア……ジャーヴィス情けなくて涙出てくるナ〜ゴ!』
人目を引く、黒猫頭の長身の男。名前通りに脚の長い黒ずくめの男と、小娘二人。
靴を片方脱ぎ、ケンケンしながら足に涼を取っていた彼に、鼻を摘まむフレンダと最愛は揃って反抗期の娘かなにかのような事を口にして。
「ところでジャーヴィス、あんた、その格好で本当にやる気?」
『ンニャ? 勿論そのつもりニャア、何処かおかしいナ〜ゴ?』
「恋愛物の映画を一人で見に行く超勇者ですか、貴方は」
当たり前●のクラッカーである。こんな目立つ格好でスニーキングミッションを行うなど。南米のジャングルで段ボール箱を被って『迷彩』と言い張るようなものだ。
要するに、否、要しなくてもモロバレだ、スネーク。
『心配しなくても、ほら、こうすれば……ニャアゴ』
パチン、と影の鋼が形成する猫の爪先が鳴る。まるで、刃と刃をぶつけたような音色と、眩めく火花と共に。
その火花は、彼が銜えた煙草の先に。万色の紫煙を撒く、その源に。
「「────!?!」」
『どうかニャアゴ?』
その、顔容……見覚えの有るその顔は────黒猫の頭と手にダブルのスーツ、肩にロングコートを羽織った姿の。
「……え? 絹旗……結局、何か変わった訳?」
「……いえ、フレンダ。超前のままですね」
二人の声、勿論、そのままの彼の姿に困惑して。しかし、変わったと言えば確かに。確かに、周り|の《》目が此方を向かなくなった。
「これって……」
『ニャハハ、簡単ニャア、フレンダちゃんと最愛ちゃん以外でオイラを見る奴……正確には『オイラを見る自覚をした奴』には、ごく普通に見えるように視角情報を誤認させてるナ〜ゴ』
なるほど、確かに。そうとしか思えない、不思議な現象である。何やらちらりと此方を見た通行人は、二度見をした後で首を傾げて歩き去っていく。
そう言う『欺瞞』のルーンを刻んだだけであるが。今は夜だ、このくらいの魔術行使ならお茶の子さいさいである。
「相も変わらず、結局、あんたの『|正体非在《ザー
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