第四十三話 踏み絵
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ですね」
フェルナー、お前の言う通りだ。領地経営の出来ない貴族が領地を持つから、貴族は帝国の藩屏、守るべき存在なんて考えるからおかしくなるのだ。むしろ取り潰すべき対象と考えた方が良い。そうすれば貴族も甘えなくなる。モデルは江戸幕府だ。どんな些細な事であれ大名に非が有れば容赦なく取り潰して領地を接収した。おかげでどの藩も領内統治には力を入れた。一揆なんかが起こったら幕府に取り潰しの口実を与えかねない。
「エーリッヒ、暴動が起き取り潰される貴族はどの程度になるとお前は見ているのだ?」
「最低でも五百は下回ることは無いでしょう。上は……、二千を超えるかもしれませんね。一つ暴動が起きればあとに続くのは難しくありません。不満なんて嫌になるほど有るんですから」
義父殿が溜息を吐きそして俺をじっと見た。
「お前は怒っているのか」
「怒っています」
「……」
「貴族は帝国の藩屏? 冗談じゃありません、これを見れば分かりますがどう見ても帝国を食い荒らす害虫ですよ。馬鹿げたことに帝国はこれまでその害虫共を保護してきた。おかげで帝国は酷い虫食い状態です。このままでは帝国は害虫どもに齧り倒されてしまうでしょう」
義父殿が首を横に振った。
「混乱するぞ、連中が大人しく取り潰されるとは思えん。お前が貴族達を潰したがっていると知れば連中は協力して反乱を起こすだろう。大きな内乱になりかねん」
「大公の言う通りだ。公の気持ちは分からんでもない。しかし他に方法は無いのか? 取り潰すなとは言わんがそれは最後の手段にすべきだろう。最初から取り潰しが狙いでは生き死にを賭けた戦争になりかねん。帝国は混乱する、反乱軍がそれに付け込む可能性も有る」
やっぱり反対か、まあ或る程度は予測出来たけどな。義父殿もリッテンハイム侯も改革の必要性は認めている。ある程度の貴族の抑制も必要だと認めている。しかし混乱は望んでいない。この二人が望んでいるのはソフトランディングだ。原作でラインハルトが行ったようなドラステックなハードランディングは望んでいない。
結局は体制内での改革という事になる。この二人だけじゃない、リヒテンラーデ侯も同じ考えだろう。ラインハルトのような体制そのものを変える改革にはならない、望まない。その分だけ改革は徹底したものにはならないだろう。中途半端で対処療法に近い政策の継続になる。消化不良になりそうだな……、しかしやり過ぎると俺自身が排除されかねん。さりげなく、無理なく改革を進めなければならない。婿養子は辛いよ、立場弱いわ……。クーデターを起こしたくなるな。
「では、次善の案としてですが金融機関から借りているだけでなく政府からも借金をしている貴族ですがこれは借金を全て棒引きとします」
「棒引き?」
「はい。但し領地は取り上げます、領地経営をす
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