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戦国異伝
第百八十二話 山中鹿之介その十一

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「織田家の服に冠を着ていますし」
「織田家から禄も貰っております」
「最早完全にですな」
「織田家の家臣になっていますな」
「そうじゃ、幕府に色はないわ」
 見れば義昭にしてもそうした色はない、当然織田家の青でも他の家の色でもない。柿色の質素な色だ。
「だからじゃ」
「織田家の服を着ている方々は」
「そろそろ」
「暇を出す」
 はっきりとだ、義昭は言い切った。
「そうした者達にはな」
「そうされますか」
「幕府から暇を出しますか」
「余が信頼しているのは御主達だけじゃ」
 天海と崇伝、二人だけだというのだ。
「では頼むぞ」
「有り難き御言葉、それでは」
「ご期待に添いまする」
 二人もこう約束する、幕府も動こうとしていた。そうして実際にだった。義昭は幕臣n殆どに暇を出すことも決めた。
 このことについてだ、闇の中でこうした話が為された。
「ふむ、幕府も動くか」
「天海と崇伝が上手やってくれておるわ」
「でjは都も騒がしくなるな」
「余計に乱が激しくなる」
「よいことじゃ」
 実に、というのだ。
 そうした話をしてだ、彼等はさらに話した。今度の話はというと。
「間もなく和議が終わる」
「織田家と本願寺のそれがな」
「その時に大きな戦となる」
「織田家と他の家のな」
「まさに潰し合いじゃな」
「色同士のな」
 それになることを心から望んでいる声だった、誰の声も。
 そしてだ、その声の中でだった。一際年老いた声がこうも言って来た。
「この戦で間違いなくどの色も大きく力を削がれる」
「織田家が生き残ろうが他の家がそうであろうとも」
「その力がですな」
「大きく削がれますな」
「そしてじゃ」
 その時にこそ、というのだ。
「我等が動くぞ」
「はい、ですな」
「その時こそですな」
「我等はですな」
「闇の世にしますな」
「この天下を」
「敵はお互いに潰させる」
 そうするともだ、年老いた声はこうも話した。
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