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アネモネ
第一章
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二人きりでしたね」
「楽しい時間はすぐに終わるものなのよ」
 アフロディーテはアドニスにこう返した。
「だからそれはね」
「それは?」
「短く感じるのよ。そして離れている時間は辛いから」
「長く感じるのですか」
「そうよ。そういうものなのよ」 
 こう話すのだった。
「それは貴方も同じではなくて?」
「はい」
 アドニスはアフロディーテのその言葉にこくりと頷いた。そのうえでの言葉だった。
「確かに。昨日はとても長く感じました」
「そうね。本当に長く感じたわね」
「そういうことですね」
「そうよ。昨日はどれだけ待ち遠しかったか」
「そうです」
 そうしてだ。また話すのだった。
「では今日は」
「これから暫くまた一緒にいられるわ」
 こう話してである。アフロディーテはアドニスをそっと抱き寄せてである。そうしてそのうえでその耳元でそっと囁くのであった。
「それでは今から」
「はい、今から」
「二人きりで」
 妖艶な微笑みを浮かべそのうえでの言葉だった。
 そしてだ。二人はアドニスの部屋に入った。それから三日三晩共にいた。

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