第二十五話 幻と現実その十六
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「その他の感覚を使えばね」
「目だけの幻も破れるからね」
「ええ、けれど六感全てに仕掛けられたら」
「そうはならないから」
全ての感覚において惑わされる、それ故にというのだ。
「今の菫さんの力は相当なものになってるわ」
「まあそれでもね」
「まだまだというのね」
「確かに相手の六感全てに仕掛けられる様になったけれどね」
このことはその通りだとだ、菫も認める。しかし菫はこのことに慢心せずにこうも考えているのだ。それを言葉に出して菖蒲に話した。
「それでもね」
「その強さね」
「力が弱いと破られるわ」
幻にしても、というのだ。
「だからね」
「,その強さを増していくのね」
「これからはね」
それが課題というのだ。
「そう考えていくわ」
「わかったわ、ではね」
「もっと修行していくから」
「生き残る為に」
「そう、生き残って」
そのうえでとだ、菫は菖蒲に笑みを浮かべて言った。
「そうしてね」
「自分のことを知るのね」
「そこは菖蒲ちゃんとも他の皆とも同じね」
「両親は誰なのか」
「そしてどんな力を使えるのかをね」
「お互いのことね」
「そうよね、本当にお互いよね」
自分達のことでもあるとだ、菫は菖蒲に話した。そうしてだった。
話が一段落したところでだ、菖蒲は菫にあらためて言った。
「それでだけれど」
「うん、戦いが終わったからね」
「何時までもここにいる必要はないわ」
列車の車両の上にというのだ、二人の頭上には電車の電線がありパンダグラフがそれをつないでいる。
その列車の上と周りの景色も見回してからだ、菫にこうも言った。
「あまりいい場所ではないから」
「正直居心地はよくないわね」
菫も笑って答えた、二人共風に長い髪をたなびかせてもいる。
「立ったままで風をまともに受けて」
「しかも電流に触れれば」
「まずいしね」
「おまけに誰かに見られたら」
「何かと厄介だから」
「中に戻りましょう」
車両のその中にだ。
「すぐにね」
「そうね、いていいことはないから」
夕暮れの車両の上でだ、こうも言った菫だった。
「もう戻って」
「休みましょう、降りるまでね」
「ええ、今から」
「そうしましょう」
こう話してだ、そうしてだった。
二人はすぐに車両に戻った、その中に戻ると。
車両の中には出た時と同じく誰もいなかった、菫はその車両の中を見回してから共に戻った菖蒲に言った。
「運がよかったわね」
「誰にも見付からなくてね」
「よかったわ、じゃあこれでね」
「普通の生活に戻れるわ」
「女の子のね」
「さて、それでだけれど」
微かにだが微笑んでだ、菖蒲は菫と共に席に座ってだった。そのうえで彼女に対してこんなことを話した。
「
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