第1部 ゼロの使い魔
第7章 トリステインの武器屋
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…て、まあ馬に乗ってるのはルイズだけなんだけど…だ、だからあなたの使い魔じゃないと追いつかないのよ!助けて!」
キュルケはタバサに泣きついた。
タバサはやっと頷いた。
自分の使い魔じゃないと追いつかない。
なるほど、と思った。
「ありがとう!じゃ、追いかけてくれるのね!」
タバサは再び頷いた。
キュルケは友人である。
友人が自分にしか解決できない頼みを持ち込んだ。
ならば仕方ない。
面倒だが受けるまでである。
それに、キュルケが恋をしているあの人とはルイズの使い魔のことだろう。
あれは危険だが、興味がある。
タバサは窓をあけ、口笛を吹いた。
ピューっと、甲高い口笛の音が、青空に吸い込まれる。
それから、窓枠によじ登り、外に向かって飛び降りた。
何も知らない人間が見たら、おかしくなったとしか思えない行為だが、キュルケはまったく動じずに、タバサに続いて窓から外に身を躍らせた。
ちなみに、タバサの部屋は5階にある。
タバサは外出の際あまりドアを使わない。
こっちの方が早いからである。
落下する2人をその理由が受け止めた。
ばっさばっさと力強く両の翼を陽光にはためかせ、2人をその背に乗せて、ウィンドドラゴンが飛び上がった。
「いつ見ても、あなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」
キュルケが突き出た背びれにつかまり、感嘆の声をあげた。
そう、タバサの使い魔はウィンドドラゴンの幼生なのだ。
タバサから風の妖精の名を与えられた風竜は、寮塔に当たって上空に抜ける上昇気流を器用に捕らえ、一瞬で200メイルも空を駆けのぼった。
「どっち?」
タバサが短くキュルケに尋ねた。
キュルケが、あ、と声にならない声をあげた。
「わかんない……。慌ててたから」
タバサは別に文句をつけるでなく、ウィンドドラゴンに命じた。
「馬1頭と白い服の人。食べちゃだめ」
ウィンドドラゴンは短く鳴いて了解の意を主人に伝えると、青い鱗を輝かせ、力強く翼を振り始めた。
高空に上り、その視力で馬と人を見つけるのである。
草原を走る馬と人を見つけることなど、この風竜にとってはたやすいことであった。
自分に忠実な使い魔が仕事を開始したことを認めると、タバサはキュルケの手から本を奪い取り、尖った風竜の背びれを背もたれにしてページをめくり始めた。
トリステインの城下町を、ウルキオラとルイズは歩いていた。
魔法学院からここまでルイズが乗ってきた馬は町の門の側にある駅に預けてある。
ウルキオラは周りを見回した。
白い石造りの街は、まるでテーマパークのようだ。
魔法学院に比べる
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