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【神為る土地で】神話伝承相続権
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保っている。
都合の悪いことから目を逸らさせるように。
人は労力なく神話に立ち、そこにどうやって上ったのかを気にも留めない。
ただ、そういうものだと自信を納得させ、そこで思考は終了する。
物語のキャラクター気分で戦いに身を投じ、その末を見据えようとしない。
与えられた能力を基に、舞台上でスポーツのように競い合う。
この人間社会という盤上でルール付けされたような構造。
まるでこの星を舞台にしたボードゲーム。
何故そんなことをする必要がある?
そもそも、本当にこれは『技術』によるものなのか?
これはもっと歪で、不可解で、遺伝という言葉で片づける事の出来ない――そんなものではないのか?
湧き出る疑問は後を絶たないが、世界は一向にその答えを見つけ出せずにいる。
なら、調べるしかないだろう。
突き止めるしかないだろう。
最終目的という奴を。
「ヘレティックを追いかけるのに普通のやり方じゃ手詰まりになる。だったら奴等の生み出した伝承者を追えばいい。連中に何かしらの目的があるのなら、必ずどこかで伝承者に接触、若しくは干渉する筈だからな。そして可能性が高いのは、より特異な存在……」
彼等は実に面白い。
戦意がないわけではないし、全員が非常に厄介な性質を持っている。
神産み、不死、世界の内包、戦乱の支配。どれも伝承者同士の戦いでは役に立つだろう。
なのに彼らは神話と同化することを恐れ、集まった。
内包した憧憬とやらを心のどこかで拒否している。
彼等はいつか、この盤上の争いそのものを否定するかもしれない。
あるいは連中が望んでいるのは、それなのか。
停滞した世界を打破するための刺激によって生まれた更なる停滞の、打破。
「……いや、いま一人で考えても考えても詮無きことか……」
チェックしている伝承者は彼等だけではない。
自分の仕事を続けるため、男は静かにその居酒屋を去った。
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