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【短編集】現実だってファンタジー
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【神為る土地で】神話伝承相続権
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壊の危機である。

「世の中そう上手くはいかないかー……」
「え、なになにこのお葬式ムード?ここっていつからお葬式会場になっちゃった訳?」
「前途多難ですねぇ……とりあえず、私も飲みますか。荒音さんは?」
「お酒……苦手なので。武智くんと同じ」
「仲間っすね。お近づきのしるしに揚げ出し豆腐半分あげます」
「……ありがと」
「あ、枝豆なくなっちった。次のツマミ何にするー?」
「俺、アサリの酒蒸し食いたいぜ」
「私はもずく酢で」
「………しめサバ」
「じゃー私は豚キムチにしよっと!すいませーん!」

そんなこんなで夜は更け、宴もたけなわ。
取り敢えず4人全員のメアドを交換することに成功したので、いざとなると助けを求められるかもしれない。……無駄かもしんないけど。

まぁその時は”神為らぬ身”に宿るこの力に働いてもらえばいいか。



 = =



4人の伝承者による会合――と言えるかも怪しい駄弁り合い。
そんな一般人の集まりにしか見えない光景を、その男は一般客に紛れて観察していた。

彼は、ずっと追い求めている。

過去の伝説を掘り起し、一般市民に一方的に押し付ける犯罪組織ヘレティック。
人知を超えた力をどこから取り出し、どのように与え、それを以て何を為すのか。

伝承者は余りにも空疎な存在だ。
力を得たことで争いに身を投じているが、実の所そこに信念が介在することは殆ど無い。あやふやな意思の下に、過去の誰かや何かの威光と力だけを借りて我が物顔でふんぞり返る。
実体のない神格、英雄。
栄誉も雄々しさもない。
神の威厳もない。
あるのは唯の力でしかなく、振るうのは人間でしかない。
彼等の持ち出す研究成果とやらは、その憧憬を抱いているかどうかも知れない人間に一方的に分け与えられる。
生産性のない、単なる娯楽のように続く人の覚醒。
いや、それを覚醒と言えるのかも疑わしい。
もしも彼らの研究成果とやらがいずれ全人類に及ぶのだとしたら、それで人類が何を得るというのだろうか。

そも、憧憬とは手が届かないからこそ意味がある。
届かないものを掴もうとするから人は成長する。
神話も武勇譚も、到達してしまえばその神秘と憧憬は人の心から失われる。
人は神話の時代を終わらせ、自らの時代だと嘯くようになる。
例えば土着の神がより大きな神に貶められたように。
神への畏れを、科学信仰という人の知恵が塗り潰したように。
神の座に椅子取りゲームのように座る人間たちと、その座から弾き飛ばされる幻想。

人と神話が取って代わる。

そしてそこに待っている筈の大きなひずみと破壊は、精霊と呼ばれる存在が勝手に補填する。その都合のよい存在の出現によって、未だ世界はその事実に気付かないまま社会均衡を
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