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『八神はやて』は舞い降りた
第4章 戦争と平和
第33話 お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ
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―はやてさんは、わたしたち悪魔を憎悪しています。


 あのとき、アーシアがリアスに放った一言が、なぜか耳に残り頭を離れなかった。





「曹操、ちょっと時間いいか?」

「ん? どうした、ゲオルグ」


 英雄派首領の曹操はいつも忙しい。
 ちょうど暇になったころを見計らって、声をかける。
 手に持った何かをみつめて、ぼうっとしていた。
 たまに見かける姿だ。声をかけがたい雰囲気があるが、今日は無視する。


「八神はやてのことなんだが……本当にただの一目ぼれなのか?」


 若干言葉を濁しながら、尋ねてみる。
 八神はやてと会ったときの曹操の激変ぶりは英雄派を震撼させた。
 だが、その後の仕事ではいままでと変わらず――いや、今まで以上かもしれない――熱心に活動していた。
 やはりうちのトップは頼りになる。と、皆安堵しているところだ。
 だが、俺とコイツの仲は長い。一目ぼれ以外の何かがある、と俺のカンが言っていた。


「……」


 無言で手に持っていた何かをこちらに投げてよこしてきた。
 キャッチすると、それはロケットペンダントのようだった。
 とりたてて特別なところはない、古ぼけたただのロケットペンダントだ。
 魔術的な要素も見当たらない。ただ、丁寧に手入れされていることは分かった。


「中を見ていいのか?」


 曹操は無言でうなずく。中を開らいて見ると、写真があった。
 8歳ぐらいの男の子と、6歳ぐらいの女の子が映っている。
 二人とも笑顔だった。


「これは……曹操?」


 よくよく見ると、男の子は曹操の面影がある。
 ただ、最初は分からなかった。
 このように満面の笑みを浮かべるコイツは、長い付き合いの俺ですら初めて見る。
 とすると、隣にいる少女は、妹だろうか。
 たしかに、曹操に似ているが、それ以上に――――


「――似ているだろう? 八神はやてに」


 俺の心を読んだように、無言だった曹操は声をかけてきた。
 顔を上げると、泣きそうで笑いそうな、自嘲するような顔を浮かべている。
 思わず息をのんでしまう。


「一番幸せだったころの写真だ。いや、手元に残った唯一の写真といった方がいいか」

「これが八神はやてに執着する理由か?」

「それは否定しない。だが、一目ぼれしたのも本当だ」

「……詳しい話を聞かせて貰えるか」


 尋ねると、苦笑しながら曹操は語った。


「俺は、中国の山村で生まれた。決して裕福とは言えなかった。が、優しい両親と親切な村人に囲まれていた。妹はとりわけ俺になついていてな。可愛かったよ。とりたてて特別なものはなかったが――幸せな日々だった」


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