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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第34話 頑固爺とドラ息子
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とすれば何かね?」
「行政側の助力と緊密な連携です」

 海賊と戦って勝つのはそれほど難しい話ではない。ケリム星域の『ブラックバート』のように元軍人で、戦艦すら運用する大がかりな組織は別として、軍艦と海賊船では武装にも練度にも格段の差がある。だが海賊は小規模故の身軽さで潜伏・移動・攻撃を行う為、勝つことは可能でも制圧することは困難だ。

 彼ら海賊を制圧するには武力だけではだめだ。海賊になる理由は人それぞれだが、その一つとして経済的困窮が上げられるのは間違いない。違法な商取引、掠奪、人身取引などに手を染めるのも、貧しさゆえにという処もある。貧しさから脱却できる合法的な手段があるのならば、命を天秤に掛けるような海賊行為を行うのは、反政府組織か犯罪組織かのいずれかである。そして星系の経済を指導するのは軍部ではなく行政府である。

 そこまで俺が説明するまでもなく、モンシャルマン大佐は無言で頷くと、爺様と一言二言話す。爺様は厳しい目つきでそれを聞いていたが、三〇秒もしないうちに大佐に小さく手を掲げて話を止め、椅子から立ち上がった。
「ジュニア。貴官がケリムで『ブラックバート』を壊滅寸前まで追い込んだのは、わしも聞いておる」
 初対面の時、この話はしているのであえていうのは、モンシャルマン大佐とファイフェル少尉に聞かせるためだろう。俺が頷くと、爺様はさらに続けた。だが次の言葉は考えていなかった。
「その実績を鑑み、貴官に海賊討伐の全ての作戦立案を命じる」

「……作戦立案の権限は司令官と参謀長のみに与えられる権限であると考えますが」
 それを考えるのは、統合作戦本部から命じられた爺様達の仕事でしょう、と俺は含みを持たせて応えたが、爺様達は一度視線を合わせた後で俺に応える。
「わしと参謀長は、現有戦力の把握で手一杯じゃ。同時に作戦を考える余裕なぞない」
 さすがにそれは明確なウソだと、俺にも士官学校を卒業したばかりのファイフェル少尉にも分かる。
「ゆえに参謀長より、貴官に作戦立案を命じる。指揮権限は司令官準拠とし、戦力は星域管区の戦力のみとして作戦を立案せよ。期限は二週間以内だ」
「……ですが」
「いいかね、ジュニア」
 爺様の声のトーンが、人の背中を引き締めるような、やや危険なゾーンへと入っている。
「広大とはいえ辺境の軍管区に、『次席幕僚』などという余剰人員(むだめしくらい)を飼っておく余裕はないのじゃよ。給与を振り込んで欲しかったら、それなりの仕事をしてもらわんといかんのでな」

「微力をつくします」
 そう言わざるを得ないような雰囲気の中で、俺は直立不動の姿勢で敬礼する。その姿を見て、爺様は「うむ」と頷いてから、モンシャルマン大佐に視線を向ける。爺様からの無言の命令を受けた大佐がさらに続けた。
「作戦に必要な物資
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