第三十八話 彼女達の戦い2
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黙を破る。
それは、皮肉ではなく、本心から実力を認めた響きである。
レイヤー「イレギュラーに褒められても嬉しくありませんね」
カマキール「そうか?ははっ…」
再び沈黙が戻る。
しばらくしてカマキールが再度口を開いた。
カマキール「なあ、アンタの言うイレギュラーってのは何だ?」
戦場に似合わぬ穏やかな声でレイヤーに問う。
レイヤー「知れたこと…あなたのように残忍で人々に害をなすレプリロイドですよ」
カマキール「そうかい?俺はてっきり、あんたらに従わないレプリロイドだと思ってたぜ?」
レイヤーは思わず目を細めた。
“イレギュラー”…人間やレプリロイドに害をなす機械。
だが、その定義が綻びているのをレイヤーは知っている。
かつてのレプリフォースのように、一方的にイレギュラーの烙印を押された者がいる。
イレギュラーの定義も、正義の形すらも今となっては曖昧となっており、“イレギュラー”達の嘲笑の対象となった。
カマキール「あんたらには分からねえだろうな…俺達の存在理由を、俺達はこの世界を変えるために造られた。この歪んで、狂った世界をよ!!」
レイヤー「(狂った…)」
世界には沢山の矛盾がある。
レプリフォース大戦では互いに認め合ったゼロとカーネルが戦い、上司と部下の関係であったエックスとディザイアが戦った。
親子のような関係であったアクセルとレッドも殺し合った。
そういう視点からすれば確かにこの世界は狂っているのだろう。
レイヤー「(皆さんは悲しみを乗り越えて戦っている…世界を守るために…)狂っているのはあなたですカマキール」
カマキール「そう言うと思ったぜ」
カマキールが嘲笑い、再び鎌を構えた。
カマキール「どちらが正しいのか、次で決めようぜ…」
レイヤー「望むところです……」
戦いは最後の幕を迎えた。
次の一撃が最後となる。
息を詰め、静止した2人の空気が弓を引き絞るかのように緊張感を高めていく。
暗闇の空気が、ピタリと止まった一瞬、揺れ動いた。
レイヤー「たああああ!!」
カマキール「うおおおお!!」
互いの刃が急所目掛けて、宙を真っ二つに切り裂いた。
勇姿が交差し、暗闇に火花が散った。
反対方向に跳んだ2人は、直後に目を見開いた。
鮮血が上がる。
レイヤーは噴き上げた血に大きくよろめいた。
カマキールは笑っていた。
勝敗に目を細め、彼女に賛辞を送った。
カマキール「やるじゃねえか」
血を噴き上げてカマキールは絶命した。
闇が戻る。
漆黒の闇は、むせ返る血の匂いで一層濃くなった気がする。
失血により、眩暈がする身体を押して、レイヤーは死骸となったカマキールを見下ろした。
血染めの身は、闇に
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