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魔法少女リリカルなのは〜"死の外科医"ユーノ・スクライア〜
本編
第八話
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「お前が切っ掛けで、スカリエッティの野郎は力をつけ始めたってことか?」
「そうだ。だからこそ、私には妹の気持ちも、姉の気持ちも理解できる。姉たちにとって、管理局は多くの屈辱を与えてきた、絶対に許しがたい存在だ。でも、あの自信に満ち溢れ、他人を平気で実験材料にするドクターしか見たことがない妹たちには、姉たちの憎しみは理解できなんだ。だが、私は、姉たちやドクターのあの表情を知っていながら、管理局の捜査に協力した。知らずに離反した妹たちはまだいい!!だが、私は知っていながら彼女たちを見捨てた!!だから、彼女たちに合わせる顔がないんだ!!」
「・・・・・・・・」

ヴィータはただ黙ってチンクの告白を聞いていた。

「すまなかったな、黙っていて。ドクターの名誉のためにも言いたくなかったんだ。知っているのは、貴方を除けばフェイトお嬢様だけだ」
「フェイトも知ってたのか?」
「ああ。JS事件の後、妙にドクターの過去について追及されてな、つい話してしまった」
「そうか」

しばらく、沈黙が続いたが、おもむろにヴィータがしゃべり始めた。

「・・・あのな、チンク。それでも、私たちは管理局員だ。法を犯した奴らを逮捕する義務がある」
「・・・ああ。分かっている」
「奴らに罪を犯させたのが管理局なら、『これ以上奴らに罪を犯させない』ことこそが、今、あたしたちにできる、精一杯の罪滅ぼしなんじゃねえのか?」
「これ以上・・・ドクターに・・・罪を?」
「詭弁だって言うのは分かっているつもりだ。でも、引くわけにはいかねえ。それに、お前もこのまま喧嘩別れなんて嫌だろ?」
「勿論だ!!」
「なら、この作戦、絶対に成功させっぞ!!」
「ハイッ!!」

少女は決意を胸に、戦いの狼煙が上がるのを待つ。





そこは、華やかなパーティー会場から一転して、まるで通夜のような重い空気に支配されていた。

ここは、今回のオークションに出品される奴隷用(、、、)の控室。

『続きまして、カタログナンバー21番―――――――――――――――――』

「ほら!!出番だ!!さっさとしろ!!」
「嫌だ!!頼む、売らないでくれ!!」

屈強な大男だが、赤子のように泣き叫び、『売らないでぅれ』と懇願する。

しかし、魔力を封印する鎖と枷に繋がれ、遠隔操作で爆発する首輪をつけられた奴隷は、抵抗空しく会場に連れていかれてしまった。

その控室で奴隷たちに許されたことは、絶望することだけ。

周りを見渡してみても、ただ泣きながら『嫌だ』とつぶやき続けるもの、暴れだし鎮静剤を打たれるもの、ハイライトの消えた瞳で虚空を見つめるもの、誰もがこれから訪れる己が運命に絶望していた。

だがしかし、控室の壁際にそのような雰囲気を微塵も見せない
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