無印編
時の箱庭・後篇
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「「はああああああああああああああああ!!」」
戦況は拮抗していた。
片やジュエルシードの魔力を利用した莫大な魔力弾。
もう片や血壊の音速駆動を利用した空気弾。
周囲にあたりを埋め尽くし一片の避ける隙間のない雷撃を空間ごと殴りつけて逸らすという荒業を見せていた。
しかし、互いに追い詰められているのも事実である。
病魔に侵されたプレシアは本来なら絶対安静を強いられる状況であり、剛も血壊の発動により刻一刻と命を削り続けている。
殆ど互いに意地で立っているようなものである。
「どうしてなの!?どうしてそんなになっても私の邪魔をするの!?」
プレシアの声が広場に響く。
それは怒っているようにも泣いているようにも聞こえた。
「私はただ娘にもう一度会いたいだけなのよ!?たったそれだけの願いも叶えられないの!?」
気が付けばプレシアの攻撃は止んでいた。
「確かに、君の境遇には同情するし・・・亡くした人にただ会いたくてここまできた君の執念と愛には素直に敬意を表する。私も愛する妻を亡くした身であるからよく痛感するよ」
「だったら・・・!?」
「だが!!だからこそ、私は貴女の行いだけは認めることは出来ない!!」
「!?」
「もう二度と会えぬ愛する者にもう一度会える・・・・なるほど、それはきっと素晴らしいことなんだろう・・・それはきっと甘美に違いない。だが、冗談じゃない!!いかに理不尽であろうとも、私たちはそれを乗り越えていかねばならない!!悲しいのは君だけだと思うな!!君の行いはそれを乗り越えたすべての人間に対する冒涜だ!!私も息子も、何よりも妻本人がそのように甦らされることなど思いなどしない!!」
「・・・黙れ」
「だからこそ、私は貴女の行いを心底憎む。大魔導師プレシア・テスタロッサを認めない!!」
「黙れえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
この二人はある意味似た者同士だ。
理不尽な事故で娘を失ったものと理不尽な病で妻を失ったもの。
どちらもその痛みをよく知るし、それを取り戻すことの甘美もよく知っている。
だからこそ、それは互いに認められることではないのだ。
再び先ほどの比じゃない魔力弾を放つプレシア。
その魔力弾の一部を殴りつけて、ビリヤードの様に他の魔力弾の軌道を逸らして、そこに生まれる僅かな隙間を掻い潜ってプレシアに近づく剛。
「貴方に何が分かる!!私にはアリシアしかいなかった!!私の残りの愛も時間も全て彼女にあげるはずだった!!あの娘さえいてくれればそれでよかったのに!!」
「どうして・・・どうしてあの娘を、フェイトを娘と認識してあげられない!!」
「あんな出来損ないの「違う!!」・・・何?」
「ただ怖いだけだろ!!怯えてい
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