無印編
時の箱庭・中篇
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いたくはなかったのだが・・・・。
(どうした守宮剛!?お前は奇跡も起こせず、ただ体一つで武力でしか物事を解決できない愚か者だろうが!!出し惜しみなど神のつもりか!?それしかできぬのに出し惜しみしてあの娘の命を見捨てる気か!?断じて否だ!!)
その瞬間、剛の覚悟が決まった。
リスクが何だ!!
そんなもの、あの娘の命と天秤にかけるまでもないであろうが!!
「ぐ、ぐがぁ!!」
そして、剛は立ち上がり、心臓の上の部分を叩き、気の循環を活性化させた。
中国武術では、この部分は体内の気が循環する経絡が集中する場所であり、気を練り上げる場所である丹田(へその下)の次に重要な場所であると言われている部分である。
活性化した気のめぐりを足掛かりにして、己の意志でさらにそのめぐりを活性化させる。
ここまでなら通常の内功と変わらない。
しかし、剛はその流れを、自壊レベルにまで更に引き上げた。
「があああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
剛の心音がその場にいた全員に聞こえるほどに高鳴り、髪は紅く染まり全身から紅い蒸気が吹き上げる。
これこそ、内功の奥義とも言える最終奥義『血壊』である。
気のめぐりを自壊レベルにまで引き上げ、身体能力を莫大なまでに増幅させる業である。
当然、リスクも大きい。
要は自動車のエンジンを本来の使用で想定された以上の出力で常に全開にし続けるようなものである。
エンジンのオーバーヒートや暴発などのようなリスクが非常に高い危険な代物である。
全身から吹き上げる紅い、血の蒸気がその危険性を物語っているだろう。
地球では魔力を動力源に術式を介して発動するものを魔法と呼んでいるため、魔力の運用だけで発動できる気功術は正式には魔法に分類されない。にも関わらず、この血壊だけは魔法でもないのに唯一禁呪に指定されるほどのものである。
そして次の瞬間。
音が消えた。
「・・・・・・・へ?」
気が付けば、フェイトは剛の腕に抱かれ柱が落ちた位置から大分離れた場所にいた。
「大丈夫かい?」
「あ、ありがとうございます」
そう。
今の一瞬で、瞬動も駆使し、音速を圧倒する速度で動いたのである。
血壊の使用中は肉体の物理限界を無視し、音速駆動を軽くこなせるのである。
「少し待っててくれ。必ず君のお母さんを連れて帰ってくる」
そして、剛はプレシアに向き合う。
「私の邪魔をするなああああああああああああああああああ!!」
魔力をチャージし始めるプレシア。
しかし、剛の顔には笑みがあった。
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