無印編
共同戦線
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いつの時代も同じ、一族郎党すべて皆殺しさ」
「「「!?」」」
「歴史的に見ればよくあることさ。逆に建国から2000年もの間、過去の王族が生き残り続けている国なんて日本くらいさ。噂では天皇家には神代の頃より秘伝される大魔法があるらしいが、今はどうでもいいな。今でも生き残っている名家はそうやって矢面に立たずに甘い汁をすすり続け、宿り木が滅べば、別の国に移動し、また同じようにその国の王族に取り入って繁栄し続ける。さっき、今と昔では魔法を秘匿する理由が違うと言ったが、昔の理由はまさにこれ、『知識の占有』だ。一族にとって、魔法の知識は一族の象徴であり莫大な価値を誇る知的財産なのだからな」
「へぇー」
エイミィが感心したように頷いた。
「だが、科学の台頭により、魔法の絶対性が崩れると、多くの名家が衰退の道を辿って行った。そうすれば、今までのように一族だけでその存続を維持することは難しくなっていった。故に、今までの秘密主義から徐々に時代に適合した形に変わっていったのさ」
「時代に適合?」
「例えば、組合もその一つだ。一族だけでその存続を維持するのではなく、外部の人間も招き入れて、仕事を斡旋し、その収益で繁栄する。現在の組合の中で規模の大きなものとなると、大抵が母体となった名家が存在し、その一族の頭首が組合のトップとなるのが習わしとなっている」
「と言うことは、守宮家も?」
「ああ。『封杖院』と呼ばれる組合を経営している。日本の三大組合の一つで封印や結界を得意とする魔導師が多く集まっている。さっき言った通り、古くからの名家は特化型が多いから、それが母体となった組合は所属する魔導師の得意分野が偏っていることが多い」
「組合毎の個性が強いってこと?」
「そうとも言えるな。それに、変わったのは名家だけではない。魔法社会も大きく変化した」
「どんな風に?」
「それまで、魔法を学ぶには親から子へ、師から弟子へと言った形でしか継承されなかった。しかし、かつての名家の衰退や情報技術の発達によって秘密を完全に保つことが難しくなり、素人魔導師が急増してきたため、『徹底した秘匿』から『学ぶ意志のある者同士での共有』と言った形に変わっていった。今では魔法を教える学校もあるくらいだ」
「魔法学校ですか?」
「そうだ。しかし、今現在の魔法は必要不可欠な技術ではないから、ほとんど『伝統芸能』に近い感覚で学んでいるものが多い。要するに、彼らは『衰退していく技術』を世に残していく為にそれを学んでいる。君たちの認識では魔導師が戦闘職に近い感じなんだろうが、あいにくこの世界では戦闘ができる魔導師などハッキリ言ってそんなに多くない。それと、ついでに言っておくが、魔法の知識が共有され始めた現在
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