無印編
共同戦線
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強いて理由を上げるなら、警察でしか雇ってくれなかっただけだ」
「「「?」」」
意外な事実に、一同は首を傾げた。
「少し昔話をしよう。私の実家である守宮家は昔から優秀な結界魔導師が生まれる名門でな、その筋では有名な一族だったんだ」
「結界魔導師の名門ですか?」
エイミィが聞き返す。
結界魔導師の名門と言う言葉にピンと来なかったようである。
次元世界は簡単な封鎖結界以外に結界魔法はそう種類がなく、管理局でも戦闘補助員に数名いればいい程度なので、そんなに重宝されない為である。
「まあな。その中でも、私は宗家の嫡子、つまりは跡取り息子として生まれたんだ」
「え?でも、貴方には・・・」
「そう。私は宗家の人間でありながらリンカーコアを持たない。そのため私は『出来損ない』の烙印を押された。そのため、今でも実家とは疎遠でね」
「警察として立派に働いていてもですか?」
「この世界の魔導師の一族、特に古くからの名家は秘密主義の傾向が顕著だ。一族の魔法の技術と知識を門外不出の秘伝として守ってきた。だから、名家の魔導師は、家柄ごとに極めた魔法の系統が大きく異なる。要するに特化型が多いんだ。だから、その跡取りに求められるのは、その一族が追及した魔導を受け継ぎ、次代に残すこと。それができない時点で私は『出来損ない』なのさ。まあ、歴史の浅い名家でないところはそのような傾向もないのだがね」
「そんな・・・・」
「だが、一族のトップが必ずしもすぐれた術者である必要はない。頭首に求められる素養は一族をまとめるカリスマ性と他の組織との交渉能力だからね。私の父は私に一族内での居場所を与えるために、私を幼いころから厳しく育てた。立派な頭首になるようにね。一族の中には当然、不満たらたらの人間も当然いたが、頭首の決定に渋々従っていると言った感じだったな。もちろん、陰口は絶えなかったが」
「ちょっと待ってください。さっき実家とは疎遠って言ってませんでした?」
「そうだ。一人の人間の登場によって父の目論見は無意味になった・・・・・それが私の妹だ」
「妹?」
「次期守宮家当主守宮禊。私の祖父が妾に産ませた子の娘で、実際にはハトコぐらい離れているかな?彼女の両親の死が切っ掛けになって、彼女の存在が一族に知られ、引き取られた。そして、彼女の才能は一族内でも群を抜いてトップクラスだった。そうなれば、今まで渋々従っていた連中も黙っていなかった。ある日、私は彼女を祭り上げようとする一族の人間の手によって殺されかけた。そして、父は私を守るために、私を亡き母の親友に預けた・・・・これが、今でも疎遠の理由だよ」
「それからどうして警察に?自分を殺し損ねた人たちを逮捕するため?」
「彼らはすでに父によって粛清された。私が警察を目指した理由は、妹さ」
「え?」
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