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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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……悪かったな、守ってやれなくて」
 守ってやると言っておきながらこの様だ。まったく、情けないにも程がある。ため息と共に窓を開け外へと跳び出す。
「何だ、そんな事かい。……いいんだよ。フェイトさえ助けてくれれば、アタシはそれで充分さ」
 アルフの微笑交じりの声が聞こえた気がしたが――ともあれ、今は目の前の客人をもてなすのが先だ。何せ、文字通りの招かれざる客である。早々にお帰り願うとしよう。
「あんた達の世界じゃどうか知らないが、この世界じゃ他人の敷地に無許可で立ち入るのは犯罪らしいぞ?」
「もちろん知っているわ。けれど、こうでもしないとあなたと接触できないと思ってね」
 姿を現したのは、管理局――確かハラオウンとかいう家名だったか――の親子だった。だからこその皮肉だった訳だが。
(二人だけ、か)
 心眼で周囲を探るが、他の気配は感じられない。とはいえ、向こうにとっては目下この二人が最高戦力であるはずだ。油断などする気はなかった。
「俺に何の用だ?」
 今のところ二人とも身構えてはいない。とはいえ、魔法の行使に必ず構えが必要だと言う訳ではない。敵意や害意の有無が見て分かれば、誰も苦労はしない。
(人を見た目で判断するな、なんて事は小学校で教わるんだがな)
 だが、不思議なもので人間というのは実際のところ見た目を重視し――その結果、得てして見た目に騙される。もしも詐欺師が詐欺師だと分かる格好をして現れるなら、その世界はさぞかし平和なのだろうが――残念ながら、この世界はそうではない。
 そんな事は誰でも知っているはずなのだが。
「俺の持つあの石ころか? それともあの娘の使い魔? ああ、またなのはを誑かしに来たのか? まぁ、どれでもいいさ。いずれにせよ渡す気はない」
「残念ながら全て外れ。プレシア・テスタロッサの『娘』の保護。それに協力しにきたのよ。そう。御神光、他ならぬあなた自身にね」
 想定外だった。そう言わざるを得ないだろう。とはいえ、
「今さらそれを信じろと?」
 今さらそれを信用する理由などない。というより、信用しろという方が虫のいい話だ。むしろ漁夫の利を狙っていると考えた方が妥当か。もっとも、
「できれば信じてもらいたいところね」
「……それで、具体的に何をしてくれるんだ?」
 利用できると言うのであれば、いい加減選り好みしないで何でも利用すべきだろう。なのはがいる以上あまり迂闊な事はしたくないが――そうやって手段を選んでいるうちに、時間的な余裕がなくなってしまった。本末転倒と言われればそれまでだが、これ以上余計な事をしている暇はない。
 衝動に狂わされたまま、そんな状況にまで追いやられた自分の間抜けさにうんざりしてから――元凶となった殺戮衝動を得体の知れない憎悪もろともに飲み干す。これから先、いくつかの目的を
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