魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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取れなくなっていただろう。それを考えれば、アルフが適切な保護を受けられた幸運に感謝してもいいくらいだった。……素直に感謝できそうにないとしても。
「うん。……あれ? そういえば何で光お兄ちゃんはアルフさんがアリサちゃんのところにいるって知っているの?」
小首を傾げながらなのはが言った。当然の質問といえば当然の質問か。
(たった今知ったところなんだけどな)
義姉に預けた魔法生物が嗅ぎつけた――いや、素直に義姉が探しだしたというべきか。それをやはり魔法生物経由で教わったところだ。
まったく、どいつもこいつも危険な真似をする。だが、お陰で助かったのは事実だ。時間がない今となっては特に。もっとも、義姉が関わっている事をなのはに――他の誰にも伝える気など全くないが。
「まぁ、蛇の道は蛇ってところかな。俺としてはそっちも巻き込む気はなかったんだが」
何せ彼女達の『血』を管理局の連中がどう判断するかは分からない。もちろん、プレシア・テスタロッサの興味を惹かないと断言もできなかった。
『なぁに。気にする事はねえ。どの道時間はねえんだ。連中が他所見なんざしている暇もねえぐらい手っ取り早く決着をつけりゃいい。いつも通り、ただそれだけの事だろ?』
リブロムの言葉ににやりとする。だが、その通りだ。こんな風にだらだらと状況に押し流されるのは、本来自分のやり方ではなかった。やれやれ。多少は経験を取り戻した気でいたが――かつての自分から見れば、まだまだケツの青い未熟者ということか。
「違いない。なら、今すぐやるべき事から一つずつ済ませていくか」
やるべきこと。とりあえずは――まぁ、これから決着をつけておくべきだろう。
「今すぐやるべきこと?」
きょとんとして首を傾げるなのはとユーノに、今度こそため息をつく。何のために、この高層マンションの周りを歩いていると思っているのか。
「裏口から引き返して、フェイトの服を借りに行くんだよ」
さすがにあの場で部屋まで戻るのは締りが悪すぎたが――それでも、アリサの家に行く前に、何故だか随分とドロドロになっているなのはの服をどうにかしなければならないことには全く変わりがないのだ。
3
「拾った犬を見せてもらっていいか?」
その日、久しぶりに姿を見せた年上の少年は、開口一番にそんな事を言った。まぁ、それはいい。彼が唐突なのは今に始まった事ではないのだから。
ただ、問題は彼の格好だった。
赤い文様が刻まれた黒革のジャケットに、同じく黒革のズボン。頑丈そうなブーツ。首のペンダントと右腕が包帯で包まれているのはいつもの事だけれど。表現として適切かどうかはいまいち自信がないが、私達には少しばかり『大人びた』格好であり、それ以上に奇妙な緊張感を与える。それ以上に妙なのは、この少年はそれをごく自然
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