魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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を呼ばれ、驚いたようになのはが首を傾げる。他の連中も突如として話を替えたと思ったらしく、それぞれ妙な表情をしていた。もっとも、別に話を逸らしたつもりなど欠片もないのだが。
「リブロムから聞いたんだが。お前、あの温泉宿でフェイトに何かもう筆舌に尽くしがたいくらい容赦なく一方的に惨敗したらしいな?」
途端に、なのはが目の色を替えて抗議してきた。
「そんなに酷くないもん! 精々ボロ負けくらいなの!」
……それが抗議なのかどうなのか今ひとつ判断に困るところだったが。ともあれ、意外と勝負事には拘る性質なのは良く知っている。この娘もやはり恭也や美由紀、士郎や美沙斗と同じ血を引いていると言う事だろう。
(もう少し桃子の血が濃ければ……。いや、無駄か)
彼女は彼女で意外と押しが強い。そうでなければ、そもそも俺はここにいない。となれば、この娘の負けん気の強さというか、勝負に拘る性質は必然だと言えるのだろう。
つくづく本当に心の底から全く以って不本意だが……それなら、たまの我儘くらいは叶えてやるべきか。
「どうだ? ここらでせめて惜敗くらいまで頑張ってみないか?」
それはつまり、フェイトの相手をしてみないか、という提案だった。
7
「どうだ? ここらでせめて惜敗くらいまで頑張ってみないか?」
その瞬間、何を言われたのか理解できなかった。ゆっくりと時間をかけて、光の言葉を噛みしめる。もちろん、今までの話を理解できていない訳ではない。それと兄の言葉がどのように繋がるのか。それは、私の勘違いではないのか。何度も何度も考えてから。
「任せて!」
滑り出たのは、そんな言葉だった。何も悩む事はない。何も怖いことなんてない。光にもユーノにも。クロノにもリンディにもできないこと。私にしかできないこと。
そして、光とあの子の力になれること。それは、最初の夜から――ひょっとしたらそれ以前から今までずっと求めていた事だった。
『いや、待て。正気か?』
「一応今は衝動に飲まれていないつもりだが?」
制止するように言ったのはクロノだった。光の返事に苛立ったように呻く。
『そう言う事じゃない。高町なのはがフェイト・テスタロッサに勝てるというのか?』
酷い言われようだった。とはいえ、『絶対に勝てる自信』があるかと言われると困ってしまうのだけれど。
「俺に勝てたんだ。フェイトにだって勝てるんじゃないか?」
一方の光は、ごくあっさりとそんな事を言った。でも、私には分かる。これは結構根に持ってる。間違いなく持ってる。思わず背中に冷や汗が伝った。
(ううう……。確かに反則に近かったけど……)
文字通り満身創痍の光に対してさらにハンデをもぎ取り、しかもイカサマのような勝ち方をした訳で。いずれ返ってくるであろう仕返しを前に一人で震えてい
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