魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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動に飲み込まれたらどうなるかって話だよ」
もっとも。あの娘を相手に殺戮衝動が作用するかどうか、と言われるとそれはそれで怪しいようにも思えるが。とはいえ、他に選択肢がある今となっては、あえて危険を冒してまで確かめてみるような事ではない。
『……なるほどな。さすがのあの子でも荷が重いだろう』
しばらくの沈黙の後、クロノが呻いた。確かに目下一番その被害にあっているのはこの少年だろう。正直、よく生きているものだ。……この感想も自画自賛になるのだろうか。
『それなら、フェイトさんにはクロノをあてがうと?』
「いや、それも難しいな。お前達が傍にいる状況で、あの娘がのこのこと姿を現すとは思えない。まぁ、それも状況次第だろうが……個人的には短期決戦を挑みたいんでね」
取りあえず、リンディからの反論はなかった。もちろん、クロノからも。
「なら、どうすんのさ? まさかアタシにやれって言うんじゃないだろうね?」
嫌そうにアルフが言う。とはいえ、
「そのつもりだった。……ついさっきまではな」
他に選択肢がなかったのも事実である。
「睨むなって。俺は動けない。クロノかリンディが出たら全力で逃げられる。となると、後はお前しかいなかったんだ」
厳密には、管理局についてはたった今こじつけただけの後付けなのだが――そうでなくても結果は何も変わらない。まぁ、厄介ごとが一つ減ったことは認めるが。
「いや、その魔導師はどうなのさ?」
アルフが示したのはユーノだった。
「ユーノには他にやってもらいたい事がある。それに、」
「僕だけじゃあの子に勝つのは難しいかな。……僕は攻撃魔法が使えないしね」
視線だけ向けると、ユーノが静かに言った。なのはやリブロムから――そして本人の話を聞く限り、生粋のサンクチュアリ派並みに破壊の力からは縁の遠い魔導師らしい。
(まぁ、本当に戦えないって事はないんだろうが)
結界や捕縛用の魔法には長けているらしい。そういった魔法が、使い手次第では攻撃魔法を上回る脅威になる事は嫌というほど知っている。とはいえ、現時点のユーノにその手腕を期待するのは酷か。それに、先に言った通り彼にはやってもらいたい事があった。
「う〜…。まぁ、必要な事だってのは分かってるんだけど……」
唸るアルフを見ながら、リンディが言った。
『ついさっきまで、という事は今は違うと言う事かしら?』
「ああ。まぁ、正直に言えばお前達を『巻き込めた』のは確かに幸運だった」
そのおかげでさらに状況が変わった。今やるべき事はとにかくフェイトを手の届く範囲に引きずり出し生存を確認する事だ。端的に言えば、保護そのものは後回しになってもかまわない。何せ、その前にプレシア・テスタロッサと決着をつければいいのだから。
「ところでなのは」
「何?」
突然名前
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