魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方5
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カ野郎なら後者の方がまだ諦めがつくだろう。……その分、殺さなければならなくなった時は気分が悪いが――それこそ今さらだ。どうせ気分の良い殺しなんて滅多に存在しない。
「ありがとう。光君」
承諾の返事に、笑みを浮かべた彼女が手を――右手を差し出してくる。どうせこの女は知らないだろうが、魔法使いと右手で握手を交わすなんてとんだ大バカ野郎だった。
「協力者として、一言だけ助言しておく」
そして。魔法使い同士では最大級の契約だった。
その手を取りながら――対価として、一言だけ告げておく。
「世界を救うなんてやめておけ。割に合わないからな」
別に何か見返りが欲しくて彼らの物語を受け継いだ訳では断じてないが……かつての自分を客観的に振り返れる様になった今、そう思わなくもない。少なくとも、誰かに勧められるような事ではない。そう思う。まぁ、それでも――
(俺だって結局は誰かに託してきた訳だしな)
誰かがやらなければならないなら。それはきっと、俺や恩師達のような大バカ野郎だ。
「知っているつもりよ。それでも、やるの」
もしもその言葉が本気だとしたら、やはりこの女も俺達同様にとんだ大バカ野郎だと言う事なのだろう。だから、この際正直に認めてしまえ。
時空管理局とやらはともかく――この魔女の事が、少しだけ気に入った。
もっとも。それは、彼女にとっては不運な事だろうが。……俺に気に入られるなんて、大体がロクでもない事になる訳だから。
5
久しぶりにアリサとすずかと話していると、突如として魔力を感じた。
≪えっと、リブロム? この喋る本からの伝言なんだけど……取りあえずまだ気にしないでいいよ。この結界を張ったのはアタシだし≫
慌てて飛び出そうとすると、訊き慣れない声――というか、念話が届いた。
≪どなたですか?≫
色々と疑問があるものの――まずはそれを確認するべきだろう。
≪アタシはアルフ。フェイトの使い魔って言えば分かる?≫
あの赤い犬――いや、狼さんらしい。取りあえず納得してから、質問する。
≪何で急に結界なんて張ったんですか?≫
≪いや、管理局の奴らが嗅ぎつけてきたみたいで……今光と交渉してる≫
それはそれでちょっと安心できない。まぁ、光がリンディに言いくるめられる姿というのはなかなか想像できないけれど。魔法使い――魔導師が相手だと光は何かピリピリしだす。そのうえ、今は魔物が暴れそうになっているのだ。クロノ一人では止められないようだし、とっても心配だった。
≪あ〜…。何か、話がまとまったみたい。問題ないみたいだよ≫
程なくして、困惑を隠しもしない念話が届いた。実際、すぐに魔力も消滅する。良く分からないが、多分大丈夫なのだろう。取りあえず、自分を納得させる。
「それで、悩みは解決したの?」
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