≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪イルファング・ザ・コボルドロード≫ その壱
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俺とインディゴの戦闘が終わるまで攻撃を避けつつ待機。キリトとアスナは三匹目のセンチネルと戦う。これが三二に別れたH隊の作戦だった。
遅れてインディゴが到着、ターゲットをインディゴに移し俺は大きく戦線から離脱。大きな弧を描いてセンチネルの後方へ回る。センチネルとの距離にして直線二十メートルほどか。俺は息を潜め視界下部にあるハイドレートを見つめる。数十秒後、ハイドレートが暗殺可能を示した。――つまりはセンチネルの認識から外れた、ということだ。
深く息を吸い込み≪隠密スキル≫を発動。足音を忍ばしセンチネルに近づく。センチネルはインディゴとの戦闘で既に一割ほどのHPを失っている。十メートルまでに距離を縮めたところで俺はセンチネルに向かい助走の為にダッシュ、五メートルを切ったところで最高時速に達し同時に隠蔽が看破される。センチネルは途端現れた俺に驚く様子もなく振り返ろうとするが、インディゴの攻撃に気を取られ若干遅れる。俺は全速力でセンチネルの鎧の襟首を掴み体重をかけて後方に転ばせようと引っ張る。
ぐらり、とセンチネルは態勢を崩しそうになるが、しかしそれで攻略できるわけではない。コボルトはその低身長からは考えられないほどの筋力でぐいっと前へ体重をかけ、難なく窮地を脱する。もし俺一人だったら俺は決して勝てなかっただろう。
インディゴがにやりと悪戯な笑みを浮かべながらアニールブレードを高く掲げ、縦斬りの単発ソードスキル≪バーチカル≫を頭部めがけて放つ。センチネルは反射的に斧槍を構えて防御するが、インディゴの目的は攻撃を当てることではない。ガンッという金属音が響きセンチネルはぐらついた態勢を立て直せないまでに崩す。
俺は余裕をもってセンチネルに密着、≪罰≫を発動。黒煙のようなエフェクトを纏ったジャマダハルがセンチネルの背中にある薄い金属ごとそのまま貫き心臓に吸い込まれる。金属音の余韻に重なりながらと銃のような音が鳴り、さらにそれと同時にガラス塊を砕く音が鳴り響き、センチネルは絶命、爆散した。
敵の成れの果てを目で追い勝利を確認し、ジャマダハルに付着した血を払うように剣先を振る。周囲を素早く見回しギアの戦闘地点を確認する。十一時の方角、距離二十メートル前後。
「次行くぜ! 走るぞインディゴ!」
「ええ!」
勝てる。少なくともH隊の役割は全うできる。視界の端でアスナがセンチネルの喉を突いて倒した。向こうも問題はない。二体目を担当しているギアも特にHPは減っていなかった。
心の憂いとなるのは本隊だけだった。
頼むぜ、本隊。ディアベル。――任せて、いいんだよな。
仲間たちに頼るしかないという状況に俺は歯痒さを感じながら二体目のセンチネルに攻撃した。
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