暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
≪イルファング・ザ・コボルドロード≫ その壱
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、もっと効率のいい戦闘スタイルがあったり?」

 と、ここで目的地に到着し足を止める。ついでギアの質問に俺が返す。しかしこれは昨日のことだからインディゴ達のレベルの理由にはならないのだが。

「デュオとかのほうが効率いいぞ。経験値は若干落ちるが、戦闘が安定するし短くなる。それに精神的な負担も少ないから長い間ずっと続けられるしな」
「へぇ〜。……デュオかぁ。成程ねぇ……」

 と、そこまで言うとギアは拗ねたように俺とインディゴのペア、キリトとアスナのペアを交互に見た。ギアの視線の意図に気づき、俺は言葉も出さずに苦笑するほか無かった。

 弁明しずらい勘違いから逃げるように俺は正面に視線を投げる。前方ではディアベルが七つのパーティーを綺麗に並ばせたところだった。我がパーティーは後方警戒という役割もあるためあそこに加わることはできない。それがほんの少し、残念だった。未だ雑談で騒がしい後方の仲間たちに向かってポツポツと言葉を紡ぐ。

「おっと、そろそろ始まるぜ。ええっと、まぁなんだ。俺たちにできることは限られていて、他の奴らと比べたら少ない。だからこそ余裕を持って全体の状況を把握して場の管理に努めよう。それがレイドの生存率にも繋がる。ディアベル達じゃ、案外気づかないことがあるかもしれないし、見落としを埋める意味でも全体に気を配ろう」

 不思議なことにパーティーが十二体の≪ルインコボルド・センチネル≫を捌き切ると確信していた。後ろに目を送ると、キリトとインディゴを始めパーティーメンバー全員が一度だけ頷いた。俺は口角を僅かに上へ揺らして前方へと両の目を戻す。

 するとちょうど、ディアベルは銀の直剣を高々と掲げ、こくりと大きく頷き。

「――――――行くぞ!」

 短い叫びが尾を引いて俺の耳に入り、開戦の意味を為す。

 ディアベルの(かいな)により扉が開き、向こうより七色の乱射光が薄暗い洞窟に差し込む。手前のほうからその光に染まっていき、まるで火に飛んでゆく虫達のように、戦士達は(とき)の声を上げながら光源へと雪崩れ込んでいく。

 その連想に俺は嫌な思いを抱きながら、最後尾のH隊も火中に飛び込んだ。

 眩い光に目を細めながら、ボス部屋を視覚情報で迅速に検分する。真っ先に思ったのが、広い。そして遠い。ボスと接敵するのも一苦労する距離だ。横幅は体感二十メートル、奥行きは……二百メートルにも感じる。実際の距離はアルゴの攻略本におよそ百メートルと書いてあるのだが、ここまで体感と情報が食い違うのだからボスの数値的な情報にはあまり頼ることはできないだろう。しかし幸か不幸か、H隊が担当するのは取り巻きの≪ルインコボルド・センチネル≫だけだ。まぁ、だからといって予想外のことが起きないとは限らないのだし、他の隊とは性質の違うチ
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