暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
[6/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
抜けだしたところだった。
「そんな……ッ!?」
 にもかかわらず。その怪物はその一撃を巨大な氷の盾で防ぎきって見せた。もちろん、なのは自身に少なからぬ躊躇いがあったのは間違いない。だが、だからと言ってそんなに簡単に防げるような一撃ではなかったはずだ。
「マズい!」
 弾かれたようにクロノが叫ぶ。その通りだった。恭也はすでに動き出しているが、それでも御神光からまだ離れている。剣が届くほどまで間合いを詰めるまでには一瞬以上の時間が必要だろう。ユーノもリブロムもなのはの傍にはいない。御神光と高町なのはは、今一対一で向かい合っている。そのうえで。
 御神光はまだ『魔物』に囚われている。そのままでは、最悪の悲劇が起こる。それを予感して――無謀を承知で、クロノと共に動き出す。
『よっしゃあ! 頂き!』
 しかし、それより早くリブロムが――それを背負ったユーノが御神光に魔力を纏って突撃した。彼が正気であれば、こんな奇襲は通じなかっただろう。だが、完全に極上の獲物――つまり、なのはと恭也に意識を集中していたその怪物……本質として衝動のままに暴れるだけしかできない、その『魔物』では対応できなかった。
『いい加減正気に戻りやがれ。この大バカ野郎!』
 直撃の瞬間。リブロムが叫ぶのが聞こえ――御神光の姿をした怪物は地面を転がっていく。しばらく地面を転がってから、ゆっくりと起き上がった。
「誰がバカ野郎だ、誰が」
 額を抑え、頭を振ってから御神光が――御神光自身が呻く。
「大体、そう思うならなのはくらいは守ってくれても良かったんじゃないか?」
 軽く腕を組み、自分の相棒を睨みつける。今の彼は、明らかに正気だった。最悪の悲劇――御神光自身の手で高町なのはが殺害されると言う最悪の結末は、ひとまず回避できたらしい。そのうえで、ようやく彼と対話ができる可能性が見えてきた。
『それこそバカ言うな。オレは出来る限りの事はしてきたつもりだぜ?』
 ユーノの背中から解放されたリブロムが中空にゆっくりと浮かびながら笑う。
「なら、何でこの状況でなのはがここにいる?」
 御神光は高町なのはには危害を加えない。どんな形であれ、彼女を解するなら御神光と平和裏に対話ができる。
『手に負えなかったんだよ。どっかのバカが甘やかせるだけ甘やかして育てたせいで我儘ばっかり言いやがる』
 対話さえできるなら、まだ分かりあえる。それが出来るだけの情報を集めてきたつもりだった。もちろん、全てを見通した訳ではない。だが、彼と対話に臨めるだけの準備はしてきたはずだ。
「そうか……」
 御神光が静かに腕を下ろした。たったそれだけの仕草に、背筋が強張った。長年の経験が警鐘を鳴らす。それは、攻撃のための仕草だった。
「確かに、甘やかせすぎたかもな」
 純白に輝く右腕の包帯。その微かな魔
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ