魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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、この人達は?」
恭也は判断できたのか。それともできなかったのか。ともかく、兄はリンディ達を示して言った。
「知るか。特に興味もない」
光の返答は簡潔だったし、かなり酷いものだった。もっとも、光らしいと言えば光らしい答えでもあるのだけれど。
「知るかってお前な……」
頭痛でもこらえるような顔で、恭也が呻く。リンディ達もさらに絶句したようだ。
「確かにいちいち癇に障る事はするし、ちょっかい出してきて煩わしい。かと言って殺し合いになれば勝ち抜けられるかは分からない。しかも、そいつらを皆殺しにしたところで何が解決する訳でもないからな。少なくとも現時点では倒すべき敵じゃあない。強いて言うなら状況の一つってところか。利用はできそうにないが、排除するのも簡単じゃないから放置するしかないってのが現状だな」
「現時点では?」
「そいつらとどうしても殺し合わなけりゃならなくなるとすれば、あの子達を救った後だろ。難癖つけて折角の大団円に水を差そうとするなら――もしくはなのはを開放しないって言うならその時は仕方がない。とことん殺し合うしかないな」
「仕方がないってお前な……」
あっさりと言い切った光に、恭也は深々としたため息と共に呻く。頭痛は治まるどころか余計悪化したらしい。そして、強引に話題を替えた。
「それで、その殺戮衝動とやらは鎮静化させられそうか?」
その問いかけに、思わず身体が強張った。だが、恭也は苦笑して言いなおした。
「いや、あの子は救えそうか?」
その問いかけに、光はにやりと笑って見せた。包帯の上からでも分かる。それは、いつもの光の笑みだった。
「世界が終わるまでには間に合わせるさ」
「そうか。それなら、帰ってくるのを家で待ってる」
恭也もまたにやりとして。そのまま、光に道を譲るように横へ退いた。光はリブロムを拾い上げ、歩き出す。背中越しだったので良く見えなかったが、どこかのページを開いて何かをしたようだった。そのまま、光は包帯をむしり取る。
「待って!」
あまりの行動に、思わず我に返った。どういう意味でその言葉を発したのか、自分でもよく分からないまま。それでも慌ててその背中に呼びかける。
「何してるんだ、なのは。さっさと行くぞ」
振り返った光には、もう火傷の跡は見られなかった。どんな魔法を使ったのか、あの酷い火傷が完全に治っている。
「力を貸してくれるんだろ?」
その瞬間。何を言われたのか理解が及ばなかった。心の中で、その言葉を噛みしめる。噛みしめて、ようやく理解できた。
「うん!」
力いっぱいに頷いてから、
「行こう、レイジングハート!」
≪Yes Master≫
空から舞い降りてきた赤い宝玉を握りしめて走り出す。もう迷いなんて何もなかった。
これでようやく、光やあの子の力になれ
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