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その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方4
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う一〇階分もなかったと思う。それでも、激突よりは遥かに優しく、光は地面に降り立った。
「何を考えて――ッ!」
 地面に降り立つと同時、光が怒鳴る――けど、それより先に私は動いていた。許す限りに身体を捻って、その頬を叩く。
 ぱぁん!――と、自分でもびっくりするような音が響いた。それと同時、涙があふれてくる。縋りつくように、その首に手を回す。
 光の身体からは嗅ぎなれない、鉄のような匂いがした。多分、血の匂いなのだろう。分かっていた事だけれど、あの火傷は治っていない。こんなになっても、一人で戦おうとするなんて。もっと頼ってくれればいいのに。頼って欲しいのに。助けたいのに。何度も叫ぶが、嗚咽にまぎれて言葉にならない。
『良い音したなぁ、相棒。オマエの負けだぜ?』
「……リブロム、恭也。あの戦法は、お前達の入れ知恵か?」
 努めて感情が抑えられた声。本気で光が怒っているのが分かった。背中にまわされた右腕から、再び魔力が滲みだすのを感じる。
『バカ言うなって。オレ達がそんな酷い事するわけねえだろ? なぁ、恭也』
「ああ、リブロムの言う通りだ。というより、あんな物騒な戦い方はむしろお前の方が専門だろう?」
 リブロムの白々しいため息と恭也の心からのため息に、光は苛立ちを隠しもせずに舌打ちをした。
「俺がやるのと、なのはがやるのとじゃ意味合いが全く違う。そんな事は分かっているだろう?」
『ンな事そのチビが知ってる訳ねえだろ?』
「そうだぞ。俺もリブロムもそこまではまだ話していない。それ以前に、俺としてもお前のそういう部分だけは真似て欲しくなかったんだが……」
 どうやらまだ私が知らない事があるらしい。力いっぱい泣いたせいか、風邪をひいた時のようにぼんやりとする頭でそんな事を思う。訊かなければいけないと思うのだけど、何故だか言葉がうまくまとまらない。喉がまだ引き攣っていて言葉そのものが上手く出せないというのも理由の一つかもしれないけれど。
「それで、雁首揃えて何の用だ?」
 私の背中をさすりながら、光が言った。多分、私にも訊いているのだろう。今すぐに返事はできそうになかったけれど。
「俺の用事は二つだ。まずは状況を説明してほしい」
「状況、ねぇ……」
 恭也の言葉に、光がふむと唸った。
「なのはがここにいる以上、ジュエルシードの存在は知っているだろう?」
「ああ。何でも願いを叶える魔法の石の事だろう。だが、暴走の危険もある。だから、お前はそれを防ぐために、回収している。そこはいいさ。お前らしいからな」
 恭也が肩を竦めて見せると、光は何となく不満そうに鼻を鳴らした。
「問題は、あの金髪の子だよ。お前はユーノのような魔法使いを警戒していた……いや、排除したがっていた。その理由くらいは分かっているつもりだ。だが、それなら何故あの子
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